2013年5月30日木曜日

「カネには代えられないものがある」

一時帰宅した原発避難者の人が言っている。
自分の家の縁側に座って。
「ここに帰ってくるとほっとするんだよな。片づけしていて一銭のゼニにもなるわけじゃないけど、ここにいるとほっとするんだ。なにせご先祖様から譲り受けて住んでいたところだからな」

除染で庭の表土を剥がされることになるとう人が言う。
「いくら賠償金貰ったって、この庭の草木も何もみんな剥がされちゃうっていうじゃないの。元には戻らないわけでしょ。いくら金貰ったって・・・お金に変えられない物があるんだよ」

小さな工場を経営していた一家が言う。
「いくら金もらっても戻ってこないものがある。お客さんとの会話、笑顔、コミュニティー・・・」。金いらないから元に戻してくれよ」

賠償金や補償金を貰って、仮に工場が再建できたとしても、意味が無いのだと。
商売とは金が儲かればいいというのではない。
お客とのコミュニケーションがあって成り立つもんだよと。

日々、これらのことに悩み、眠れず、睡眠薬を常用している人もいる。酒に頼る人もいる。

それらが原発被災地の現実。

なにかと東電は、賠償金の支払いにさえ難色を示している向きもある。
浪江では町が代理人になって賠償請求。一人10万円だったのを35万にしろと。
現実、「金」でしか解決できないことはもう百も承知。だけどおさまらない胸の内・・・。

山に山菜を採りに行けなくなった。生き甲斐が無くなった。川で魚を捕れない。庭に草木を植えて、見る人達を楽しませたいと言う「優しさ」。

金には代えがたいものが山ほどある。
そんな“隔離”されたような東北の一部。

東京では金がすべてとばかりに、原発を売って歩いている人がいる。株価の上下に一喜一憂している人がいる。
円安・株高で儲けた自動車会社では役員報酬が2,2倍になったという。

テレビではこれを買え、あれを買えのCMが楽しそうに流されている。

電力会社は原発再稼働に大きく動いている。
北海道、関西、四国、九州の4つの電力会社は7月にも再稼働申請をするという。
政権は受け入れるはず。

再稼働反対のデモが官邸前では続いている。再稼働反対に異論は無い。しかし、彼らの言い分は再稼働反対。
福島は一つの「経験」。

福島県民という人が時々ハンドマイクを持って、自らの“体験”を話す。その人の言うことにいちいち目くじらを立てるつもりは無い。論理に飛躍があったり、どこかで刷り込まれた「話し」を、体験のように話していても。

でも、その人に最後に「再稼働反対」を言わせるところに、「ダシ」にされた福島県民を見る思いがする。

若い女の子が死んだでしょ。死体に若い人がマスクをかけていましたよ。福島の何処の話だ。福島では若い人も働き盛りの人も、高齢者も、心筋梗塞で死んでいますよね。
本当の福島の姿を報道機関は発表すべきです。

原発から1,2キロのところに住んでいて、着の身着のまま裸で逃げてきました。会場からは「おお」って声があがる。その中年の女性は福島の人であろう。避難して来た人であろう。

デモの中心に立って、それを言うこと。おそらく、言ってくれと言われたのだろう。

一昨年から時々書いている官邸前のデモのこと。福島を利用してくれるな。

再稼働反対を言う前に言うべきことがある。「苦しんでいるわが街、わが村の“仲間”達をどうにかしてくれ」。帰るところが無い人達の無念さを語ってくれ。

東北の人達は、福島の人達は、昔から、明治時代から、昭和になってから、そして今も。いつも、何かに、誰かに「利用」されているような気がして・・・。

2 件のコメント:

まちりの さんのコメント...

書かれたのは今日の被災地からの声の内容ですね。
さっそくネットで紹介させていただきました。
本当に、あの番組が首都圏で放送されない事に腹が立ちます。

後半で書かれていることも同じように感じてました。
山形に避難して来られ二重生活で交通費の負担が・・と
言っているかたが東京まで出かけてデモで発言しているのです。
その東京と交通費は誰が負担したのでしょう

亭主 さんのコメント...

まちりのサマ

そうです。例の津田アナウンサーの番組です。あれを見ていると、何も終わっていないってことにあらためて気づくのです。
全国放送への疑問、以前に書いた時も各方面からいただきました。NHKに“申し入れ”も・・・。
後半の人は港区に「お世話になっています」と喋っていましたが・・・。

山形からの人も含め、「費用」は然るべきところから出されていると見るのが正解かもしれませんね。
ネットで紹介していただいたとのこと、嬉しいです。今後ともよろしくお願いします。

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