2019年12月26日木曜日

宴のあと、宴の前


三島由紀夫が書いた小説に「宴のあと」という当時“物議”をかもしたものがある。
小説であり、登場人物は仮名だが主人公は、かつて外務大臣も経験した政治家有田八郎と、東京白金台にあった高級料亭「般若苑」の女将畔上てるい。ま、大人の恋物語とでも言おうか。当時、評判になった作品。有田八郎が都知事選に立候補していたから。
結果、有田は選挙に敗れ、三島を相手どった裁判を起こしたが係争中に有田は亡くなった。
世に言う“プライバシー”裁判。プライバシーという言葉が“認知された”嚆矢だ。

般若苑の桜は見事だったと聞く。
因みに般若苑も倒産、その後、経緯はわからないが、その跡地には白亜の殿堂と見まがうようなソフトバンクの孫正義の豪邸がある。
般若苑には数多くの骨とう品や家具、美術品があった。それらは、跡地の脇にある畔上家にゆかりのある人の家に管理されている。

今年の春、新宿御苑であった「総理と桜を観る会」を巡って数々の疑念や問題点が指摘され続けている。
この問題が報じられた時に浮かんだのが「宴のあと」という言葉。

政治を取り巻くあらゆる“醜さ”が表出しているから。

嘘と欺瞞と隠ぺい。それへの官僚の愚かな存在。
宴の場で得意満面ではしゃぎ回っていた「お祭り男」の安倍。能天気な夫人。
神輿に乗せられただけの醜い男と女。

年が明ければ国民は忘れる、高をくくっていた菅や二階。
そうは問屋が卸さない。

そして折しも、外国の「宴の場」、カジノ。あの煌びやかな遊びの場を巡り、
またも自民党の政治家が誘致を巡る汚職の疑いで逮捕された。
次の逮捕もあるらしい。

I Rとか言ってなにかと美しい政策のように喧伝をつづけてきた政権。
IR法とはカジノ法だ。日本を博打天国にするという。
パチンコだけでもういいでしょ。外国企業の資金源にされるのは。
カジノには、博打には必ず暴力団やマフィアが付いてくる。
そういえば御苑の花見の会の宴にもそれらがいた。菅は嬉々として並んで写真に。並んで写った方は嬉々としてネットに。
菅は「紛れ込んで来たやつと突き放し、隠す、隠す。

「反社勢力という定義は無い」と閣議で決めるありさま。実際には明文化された定義があるにもかかわらず、無いとする。
厭な奴らだな~。そうしないとIR法の有意性に懸念が生じるからだ。

反社勢力は健在だ。閣議で“嘘”が決められている時、広域暴力団・指定暴力団の内部抗争事件が発生。存在を誇示するかのように。

カジノ法案をめぐり、政権の内部にいた議員が取りあえずは300万の収賄で逮捕。醜い国ニッポンを見せつけられた思い。
カジノを経営する側には安い出費。お釣りは何億円。

カジノという煌びやかな宴の場。

かって郡山の著名な経済人がカジノにはまり、ラスベガスから「つけ馬」が付いてきた。
マカオ、ウオーカーヒルと転々と足抜きできず、ついに自己破産。みじめな老後の醜態を見せていた。

花見のことでもう一つ浮かんだ歴史の逸話。
「醍醐の花見」という秀吉にまつわる話し。
秀吉晩年の慶長3年。京都の醍醐寺三宝院で北の政所から始まって淀殿ら女性1,300人を招いて豪華な花見の宴を張った。
これとても己が権威を天下に見せつけるため。

半年後の9月、秀吉は亡くなる。

辞世。「露と落ち 露と消えにし我が身かな 浪速のことは 夢のまた夢」
安倍にすれば「浪速」を置き換えて「御苑の事は・・・」となるのか。

日本の政治を、特に今年の政治を「宴の政治」と呼ぼう。
「宴の政治」とは地に足を付け、格差や貧困、少子高齢化など、山積する政治課題に取り組むよりも、意図的に人々の耳目を集める祝宴を作りだし、それを自らの権力維持の為に最大限に活用する政治だ。

令和の宴から始まって、御苑の宴、便乗したラグビーのパフォーマンスなど。。

今年の“宴”は終わりだ。
来年も新たな宴が待っている。
「スポーツの祭典、オリンピック」。

そのオリンピックを宴らしい宴、祭りらしい祭りとし、その中で、自らの権威を思う存分発揮しようとしているのだろう。
お茶坊主どもは、その“お流れ”頂戴に腐心する。

新たな宴の始まりだ。宴の前には9年近く前の「災禍」や未曽有の原発事故などは無かったことのようだ。

そして、人々はその仕組まれた宴、祭典に無条件に巻き込まれて狂喜乱舞する。

政治家が政治でしか出来ないことをしない。これを何と呼べばいいのか。

三島亡きあと令和の宴の後を誰が書くのか。書かねばなるまい。

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