2020年4月6日月曜日

「タイガーマスク」と「アベノマスク」

今から10年ほど前の12月25日、群馬県の児童相談所の前に真新しいランドセルが10個置かれていた。伊達直人という名前で。タイガーマスクの漫画の主人公の名前で。
伊達直人はその後相模原市などに出現。ランドセル以外に筆記用具やプラモデル、食品などを置いて行っていた。
タイガーマスク運動と名付けられ、“善意”として拡散された。

原発事故。津波災害。あの頃も人は人に対して優しかった。

政治が劣化し、機能不全を起こしてから久しい。その中で新型コロナウイルスによる災厄が起きた。予想通り「パンデミック」が起きた。

すべてが「後手後手」の対応がもたらしたこと。

2月のある日から、マスクが店頭から消えた。買占めがあり、高価な転売があり、なんでも金儲けにと考える輩が居た。
次にトイレットペーパーが消えた。

人間は人間に対して優しくなくなっているように感じる。

官房長官はマスク6億枚の確保を明言したが、画にかいた餅だった。
ある時から国会はマスクで口を覆った人たちの群れと化し、安倍は記者会見で得意満面に「1所帯2枚」のマスクを郵送すると大見得を切った。

時を同じくして、医師会やWHO(こいつは曲者集団)はマスクはコロナウイルスの予防には役立たないと言った。

医者がマスクの有用性に疑問を呈し、政治家はマスクで口を塞ぐ。

今更ながらの見方だが、武漢で感染爆発が起き、チャーター機が数回、在留日本人を救出し、千葉の三日月ホテルに逗留させた。
ここまではある意味順調だった。

問題は大型クルーズ船ダイアモンド・プリンセスの乗客・乗員の扱い。
「三密」に背くかの如く、“監禁”された。
厚労省の指示だ。
香港で下船したスーパースプレッダーの残滓が船内に残り、感染を拡大させた。
乗客を直ちに下船させ、陸地で対応すべきだった。

結果、下船を許された乗客たちは通常の交通機関で帰宅。ウイルスが拡散された。

政府の動きは鈍かった。何故だかわからない。何かがあったからだ。

WHOはパンデミクス宣言を出さず、模様眺めが続いた。

そして今。感染者は全国に拡大し続けている。
感染源の追跡調査不明とテレビは言う。

PCR検査が問題にされていた。その検査が十分になされていれば「感染源不明」の患者は減ったはず。

「PCR検査を保険適用することを決断しました。国民のみなさまは安心して検査を受けられます」。安倍は公言した。

実態は違う。検査をしたくても保健所が首を縦に振らない。保健所の物理的事情もあるだろうが、検査を受けられない感染者が町を自由に歩き回る。
自覚症状の無い人は特にだ。
経路不明の感染者拡大。「検査」がなされなかったことによるもの。

医療、検査体制があまりにも不十分だった。
厚労省は何を考えていたのか。医師会も表面には出なかった。

検査をしない、できない国。韓国ではドライブスルーも含めて出来得る最大の体制をとっていた。

感染者が拡大し、死者も増える同盟国アメリカ。日本に在留する米国人を帰国させるという。
日本の医療施設はパンク状態。突きつけられる悲惨な現実の数々。

安倍は明日、「緊急事態宣言」を出すという。

ある歴史学者・哲学者の言を借りる。
 “今日、人類が深刻な危機に直面しているのは、新型コロナウイルスのせいばかりではなく、人間どうしの信頼の欠如のせいでもある。
感染症を打ち負かすためには、人々は科学の専門家を信頼し、国民は公的機関を信頼し、各国は互いを信頼する必要がある。この数年間、無責任な政治家たちが、科学や公的機関や国際協力に対する信頼を、故意に損なってきた。その結果、今や私たちは、協調的でグローバルな対応を奨励し、組織し、資金を出すグローバルな指導者が不在の状態で、今回の危機に直面している“。

明日、安倍が国民の信頼に足り得る「言葉」を役人の書いた原稿を読まずに語り掛けることができるのか。

それによって、「コロナウイルス」に対する国民の態度も変わり得ると思うのだが。

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