大阪地震。スマホが活躍した。安否確認からはじまって各種の情報取集。
車内に閉じ込められた人にとっては有り難いツールだった。
被害の様子も最初に流された映像は市民がスマホで撮った映像だった。
今回に限らず、スマホの普及は「一億総ジャーナリスト」化の象徴にも見える。
そして、デマも多数発信されていた。
今ほどSNSが普及していなかった「3・11」の時でさえ、デマが発信され、デマを信じた人はうろたえ、拡散されたデマは社会的混乱を招いた。
「フクシマ」は格好の標的とされていた。
機会があるごとに「スマホ、SNSの功罪」について思うところを話してきた。
スマホはその機能を急速に進化させてきている。
もはやあれは電話機ではなく写真機だ。
生活に必要なあらゆる機能が搭載されている。
買い物もナビも音楽視聴も。
スマホ一台あれば生活には事欠かないのだ。
誰が開発したかは知らないが人間はスマホと言う“文明の利器”にすっかり取り込まれた。
まるで天使からの贈り物のように。
数か月前だったか。新聞の投書欄に埼玉県の16歳の女子高生の投稿を眼にした。
“あと少し早く生まれて来たかった。私が強くそう感じたのは正月にいtった海外旅行がきっかけだった。
小学5年生の時、家族とオーストラリアに行った。当時は今ほどスマートフォンで何でも調べることは出来なかった。
そのため、ホテルの従業員にお勧めのレストランを聞いたり、店までの道を街でいろんな人に尋ねたりと、たくさんのコミュニケーションをとったことを鮮明に覚えている。
今年、再び家族でオーストラリアに向かった。今度はレストランもその場所もすべてスマートフォンで調べることが出来た。
しかし私は何か物足りなさを感じていた。それは便利さの陰で失われてしまった人と人とのつながりだった。そして小学5年生の時は何気なく交わしていた現地の人たちとの会話がものすごく恋しくなった。
私たちの生活は豊かになったのか。たしかに便利にはなった。でもそれはかえって私たちから大切なことを奪っているのではないか。
あと少し、スマートフォンが普及する前に、生まれてきたかった。“
彼女の意見に賛成する。
ツイッター・フェイスブック・ライン・インスタグラム・・・。
写真を撮って公開する。自撮りと云う機能で顔を映す。
有名人や友達も交ざって。
スマホの便利この上ない昨日は多くの人を満足させている。
既存メディアのテレビは「スマホ講座」番組をつくりその普及促進に手を貸している。
スマホによってこの国は動いているようだ。そんな中、前記の少女の投書はまさに一服の清涼剤のようだった。
妖怪ウオッチというアニメがある。
その中に「コマさん」と「コマ次郎」という兄弟が登場する。
兄のコマさんはアナログ人間。弟はスマホを使いこなすデジタル人間。
三差路でどっちの方向に行くか兄は真ん中で棒を立てその棒が倒れた方に行こうとする。
弟はスマホのナビですべてを知っている。
兄の気を逸らせておいて弟は棒の向きを修正しておく。
スマホ世界の「寓話」が出来上がっている。
今日は沖縄慰霊の日だ。沖縄でもネットを駆使した「デマ」や「誹謗中傷」が渦巻いているとか。
米軍基地反対派に対してのものだ。
スマホの功罪。人を傷つけ、社会を混乱させる罪の方が大きい。
スマホで「つながる」という。ネット上にしか「友達」なるものは居ないという。
ハイデガーやサルトルの言をもってスマホ社会を語るものでは無いが、「人間の存在」「人間の存在意義」がスマホ社会では排斥されているようだ。
人と人とのつながりは顔を見て語り合うことでしか生まれない。
医療現場でもスマホによる遠隔診療が行われるようにもなった。
「手当」という言葉がある。
人間が人間の手で人間に触れることに治療の意義がある。
ネットで本は買わない。本屋で向き合ってつながりを感じた本を買う。
スマホで簡単に「押した」だけで本は届く。だけど宅配業者の勤務はかさんでいる
。
真の便利さとは何か。真の豊かさとは何か。
立ち止まって考える時代なのだと思うけど。
2018年6月23日土曜日
“チェルノブイリ”異聞
ロシアがウクライナに侵攻し、またも多くの市民、日常が奪われて行く。 ウクライナという言葉、キエフという言葉、チェルノブイリ・・・。 そう、あの最大の原発事故を起こした地名の幾つか。 「チェルノブイリ原発事故」。1986年4月26日。 ウクライナの北部にあるその...
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