2018年11月22日木曜日

「ゴーン」と「ムヒカ」

“表層的”な事だけで書く。

日産の“中興の祖”であるカルロス・ゴーンが逮捕された。
所得の虚偽申告、会社のカネの私的流用・・・。

僕には「第一印象」で人の好き嫌いを判断する”癖“がある。
ゴーンが華々しく登場した時、テレビで見た印象は下世話に言えば「インチキ臭い嫌な奴」というものだった。

僕が最初に買った車はワーゲンの中古だった。ドイツの国民車という触れ込みの。
大学時代の友人がヤナセに就職しており、その縁で買ったと言うだけの理由。ヤナセの近くにはたしかルノーがあったように思う。
ルノーは国営企業の作り出したクルマだ。

ゴーンの100億円と言う報酬額には驚いた。50億円を“脱税”にも驚き、会社のカネで海外のあちこちに邸宅を買っていたともいう。
ゴーンがもてはやされたのはコストカット、いや従業員の首切り。それを“リストラ”は言えないが。

当時解雇された日産社員はどういう思いでこの金額や逮捕劇を見ているのだろうか。

ゴーンの話を見聞きしながら、なぜかウルグアイの大統領だった、世界一貧乏な大統領として有名になった、ホセ・ムヒカの逸話を思い出していた。
彼はかつて地球環境会議でこう演説していた。

“我々の前に立つ巨大な危機問題は、
環境問題なんかではありません。
政治的な危機問題なのです。
現在に至っては、人類が作ったこの大きな勢力を
コントロールしきれていません。
逆に人類がこの消費社会にコントロールされているのです。
私たちは発展するために生まれてきているのではありません。
幸せになるために、この地球にやってきたのです“

ムヒカの問いかけはSDGs(持続可能な開発)という言葉を含む、今の世界の在り方の向けられたものだ。

持続可能な発展と世界の貧困をなくすこと、その本音は何だと言う問いかけ。
“ドイツ人が一世帯で持つ車と同じ数の車を、
インド人が持てば、この惑星はどうなるのか。
息するための酸素が、どれくらい残るのか。

西洋の富裕社会が持つのと同じ、傲慢な消費を続けたら、
世界の70億~80億人ほどの原料が、
この地球にあるのか。
なぜ私たちは、このような社会を作ってしまったのか。
間違いなく私たちが、この無限の消費と発展を求める
社会を作ってきたのだ。
このような残酷な競争で成り立つ消費主義社会で、
「みんなの世界を良くしていこう」
というような共存共栄は可能なのか。と言う問題提起。

ムヒカはその演説をこういう言葉で締めくくっていたような気がする。
「貧乏な人とは、少ししかものを持っていない人ではなく、
 無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ」

ゴーンに謹呈したい思いだ。
横浜にそびえ立つ、権力の牙城のようなビルの夜景を無ながら思う。

ゴーンの独裁“政治”は彼だけの問題では無い。日産の存在も問われることだ。
独裁は周りに独裁に協力する人、意向に逆らえない人、有価証券の偽造に携わった人がいることで成り立つ。

数の力をもって長期政権を築く。公文書の改ざんは平気で行われる。
「仲間を意識し、常に仲のいい人、コントロールしやすい人で周りを固める。
丁寧な説明といいながら、中身はおろか、説明すらされていない。
過ぎ行く時間の中で、数々の不祥事も忘れられていく。

彼らに共通して言えるのは「独裁」という名の哀れなシステムに安住してきたことだ。

最初にあの男の顔を見た時、端正な顔立ちにの中に隠れている「冷酷さ」を感じたことを思い出した。
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