かつて、堺屋太一氏がよく語っていた。
日本の官僚は優秀である。政治家がどうあろうと官僚に任せておけばこの国は安泰だ」。
彼が“戦後の三大神話”として取り上げていたこと。
彼は通産省の官僚から作家に転じた人。彼の脳裏には通産官僚のことがあったのかもしれない。
通産省が大揺れに揺れた時期があった。日米繊維交渉。
作家の山崎豊子は「官僚たちの夏」という小説で当時の官僚と永田町との確執、政治家に「支配されない」官僚の姿が書かれていた。
時の通産次官はミスター通産省と呼ばれた佐橋滋。
通産省はある時まで、日本の繊維産業を守るために尽力した。繊維業界は設備投資に励んだ。
それが突如、アメリカの意向を受けて繊維機械を破壊するという国策の犠牲になった。
「糸で縄を買う」。
繊維産業の縮小は沖縄返還交渉がもたらしたもの。
通産官僚はそれぞれが親しい政治家を頼り、なんと繊維業界を守ろうとした人たちもいた、彼らが繊維業界から「賄賂」を受けていたか。そんな歴史はない。
「公助」の官吏として働く役人の「矜持」を持ち合わせていた。
今、総務省がやり玉に上がっている。
接待を受けたか受けないか。バレるまでは国会でも平気に嘘をつく。
安倍・菅と続く中で、首相が嘘の片棒を担ぎ、菅に至っては長男の会社の便宜供与と10年続く泥沼。
世も末だ。
内閣広報官の山田真貴子という“上級国民”が菅首相の息子との7万円の会食問題で、世論や国会から追及の的になり、進退を問われ、彼女は「入院」という安全地帯に身を置いた。
不祥事を起こした政治家の大方は「入院」なさる。
どうも政治家、上級国民の「世を欺く、保身とための手段」が入院ということらしい。
かって睡眠障害という病名をいただいた自民党の“大物”もいた。
医師は診断書を書いたのだろう。その中身を知りたい。その病院名を知りたい。豪華な病室。例えば慶応病院でも一日30万という部屋がある。勝って石原裕次郎が入院していた部屋。
コロナ禍、病院はひっ迫している。医師も看護師も疲れ切っている。“上級国民”を受け入れる余裕はないはず。
「別世界」が医療の分野でも存在しているのだ。
菅に関して解せないことがある。何故議員宿舎に住んで公邸に住まないのだ。
幽霊が怖いからか。
一日の多忙な日程のなかで、なぜか議員会館の自室に連日立ち寄っている。
何のために会館に行くのか。
過日テレビでちょこっと映っていた。菅の部屋はカーテンで隠されていた。
総理番の記者も近寄れないようにされている。
部屋の中で誰と会っているのか藪の中だ。
新聞の首相動静欄にも会館に入った。だけでなんの情報もない。
隠し事が多い奴に限って「透明性」なんて言葉をやたら口にする。
全力でとか、責任をもってだとかやたら形容詞が多い。
内閣広報官の後任には外務省から小野日子氏が登用された。
緊急事態宣言延長の記者会見に登場、世論を気にする菅は1時間以上会見した。
菅人事は時として「安倍人事」と思われる時がある。
「女子トーク炸裂」と安倍昭恵が書いたフェイスブックの写真。両脇は山田、小野が占めている。単なる偶然なんだろうか。
「期間延長」の菅の記者会見。ほとんど内容に乏しいものだった。
冒頭発言、プロンプターを読む菅。原稿は誰が書いたのか。
首相補佐官に引っこ抜かれた共同通信の柿崎明二。彼も秋田の出身。
テレビで安倍政権批判をぶっていた柿崎が突然転身。権力側に身を置いた。
これが今のマスコミ界を象徴した出来事なのか。
権力批判を是とするジャーナリストが権力側に立つ。柿崎補佐官が書いた原稿ならあまりにも出来が悪すぎはしませんか。
世の中、皆「狂っている」の感大なり。