2019年10月3日木曜日

「香港のデモ」から思い浮かんだこと

香港で起きている若者中心のデモ。ついに警官は拳銃を抜いた。発砲した。
撃たれた学生、高校生は一命を取りとめたが。
高校生の通う学校では生徒たちが抗議行動に入っている。

大人たちも、昼休みにはデモ行進を行ている。
今夜も抗議デモの参加者は増え、香港はさまざまな機能が「マヒ」状態になるだろう。

香港の学生たちを主体にしたデモ、警察の発砲。妄想めいたことが浮かんできた。“未完のストーリー”めいたもの。

“一つの家庭がある。父親の職業は警察官。機動隊に配属されている。
その日も高校生の子供は、朝学校に行った。
出がけに父親と母親が声を掛けた。気を付けてね。と。
子どもはいつものように行政府に抗議するデモに参加した。
少なくとも彼は「自由」について学び、考えて来た。
香港を中国から完全独立させるべきだと考えていた。

デモの現場は荒れていた。警官隊は催涙ガスを撃ち、デモ隊と対峙し、ごぼう抜きのように学生たちを引っこ抜いて警棒で殴打し続けていた。
一人の若者が警察の側に引っ張り出された。
その日、彼の父親は機動隊員として、鎮圧に当たっていた。
ひきずり出された若者。殴打している途中に顔の黒いマスクが剥がれた。
それは自分の息子だった。
その警察官はそれ以上警棒をふるえるのだろうか・・・。“

頭の中は「3・11」後、テレビの番組で人気を呼んだ、サンデル教授の白熱教室を思い出す。
これからの「正義」の話をしよう。
“一人を殺せば5人が助かるという場面があったとしたら、あなたはその一人を殺すべきか”
道徳的、哲学的な問題提起のいくつか。サンデル教授は答えはださない。
教室にいる聴衆にさまざま議論させる。
もし香港の事象をテーマにしたら教室にはどんな議論が展開されただろうか。

さまざま「大衆運動」の歴史を想起する。

天安門事件の際、軍の戦闘車両の前にいわば素手でその行く手を遮ろうとした若者がいたこと。彼は素手なるが故に戦車の運転手はブレーキを踏んだ。
何回も。

日本の歴史。安保闘争は権力に敗れた。
東大安田講堂事件も結局、警察に鎮圧された。
大学国家管理法が生まれた。

4年前の官邸前での市民行動・・・。

原発反対の市民行動・・・。

警察とは常に権力者を守るためにあるのだろうか。
市民の側に立てないものなのだろうか。
時の権力者は守るべきという至上命題があるのだろうか。

香港を考え、22歳の運動の指導者周庭さんのことを考える。
少なくとも最近メディアの画像には登場しないが。
地球温暖化防止を訴えたスエーデンのグレタ・トウーベリンという16歳の少女の事を考える。
「人々は苦しんでいます。人々は死んでいます。生態系は崩壊しつつあります。
未来の世代の眼はあなた方に向けられています。もしあなた方が私たちを裏切るのなら私は言います。あなた方を絶対許さない」と。

周庭さんもトウーベリンさんも“これからの「正義」の話をしている”ように思えてならない。

“チェルノブイリ”異聞

  ロシアがウクライナに侵攻し、またも多くの市民、日常が奪われて行く。 ウクライナという言葉、キエフという言葉、チェルノブイリ・・・。 そう、あの最大の原発事故を起こした地名の幾つか。 「チェルノブイリ原発事故」。1986年4月26日。 ウクライナの北部にあるその...