2016年4月9日土曜日

世界一“豊かな”大統領

昨日、あるところで、来日中のウルグアイのホセ・ムヒカ元大統領の話をした。
2年前、彼はこんなことを言っていた。それが今、日本でも絵本も含めて売れているということ含めて。そして「3・11」も絡めて・・・。

「人間が犯した間違いの一つが巨大都市を作ってしまったことだ。人間らしい暮らしには全くむいていない。
人が生きて行く上では都市は小さい方がいいんだ。
効率や成長一辺倒の西洋文明とは違った別の文化、別の暮らしが日本にはあるはずだ。それを突然忘れてしまった。
このまま大量消費と資源の浪費を続け、自然を攻撃していれば地球はもたない。
生き方から変えなければ。
簡素な生き方は日本人には響くんだ」。

売れている彼のことを書いた本のタイトルは「世界で一番貧しい大統領」となっている。
その貧しさとは何を指すのか。金銭的、物質的貧しさを言うのだろう。

かつてこの国でも、それこそバブルがはじけた後、「清貧の思想」「清貧のすすめ」ということが言われた時があった。
彼は「心の豊かさ」を言っていると思う。だから、あえて「世界一豊かな、裕福な大統領」と勝手に呼ばさせて貰った。
ムヒカ氏はこんなこともはっきり言っていた。

福島の原発事故を起こした当事者の責任が追及されていないことに対して、
「市場原理が支配しているからだ」と述べながら事故のリスクがある原子力への疑問を投げかけ、「日本には優れた人材がいます。そして技術力もあり、経済力もあります。それなのに、原子力に依存する政策を続け、代わりとなるエネルギーの開発に消極的な事実におどろかされます。広島と長崎の悲劇を経験した日本人が、経済的な要素を重視し、国民の思いを考慮しない政策を進めているのは信じられないことです」と。

こんな話を紹介しながら付けたしみたいに僕は言ってしまった。
「資本主義とは何か。それは壊れないものを作らないと言うことだ。壊れるものを作れと言うことだ。壊れたら新しいものを作る。それを“便利”なものとして売る。売れば経済が成長する。その“循環”をくりかえせばいいのだ」。
若いころ聞いた話を思い出しながら・・・。

そうなんだよな。今、修理して物を使うという生活習慣は無くなった。だって、修理するより新し物を買った方が安いという“市場原理”なのだから。

ムヒカ氏は昨日の大学での講演で持論を重ねて語っている。

「社会と向き合う上で、哲学、政治、倫理という価値体系が存在する。ところが、この社会を形づくる市場経済というものからは倫理、特に哲学が分離してしまった。市場によって、私たちは組織だった社会に生きるようになったが、それは人々に浪費を強いるシステムでもある。何かを買うために生きる。浪費し、消費することが不可欠な社会になってしまった。
 だが、お金で物を買っていると思うだろうが、実は自分の人生の一定の時間と引き換えているのだ。家族や子どもと過ごす時間を削って消費する。新しい物を、いい物を買うために、人生で一番大切なのは愛であるのに、愛情を注ぐ時間を浪費している。消費そのものを否定はしない。ただ、過剰はいけない。人生の原動力となる愛情を注ぐ時間を確保するために、節度が必要だ」。

さらにムヒカ氏はこうも言っていたようだ。
「この世界に紛争は必ずある。だからこそ、社会全体に心をくだくことが大切になる。「政治に関心がない」「政治は重要じゃない」と言う人がいるが、政治を放棄することは少数者による支配を許すことにつながる。人間に上下はない。男も女も同じ権利を持つ。公爵も伯爵もないのだ。
 民主主義には限界がある。それでも社会をよくするために闘わなければならない。皆さんのようにすばらしい大学で学んでいる者は、社会をよくするために闘わなければならない。最も重要なことは勝利することではなく、歩き続けること。何かを始める勇気を持つことだ」。

小言爺い、納得の巻でした。

ムヒカ氏の演説をぜひ「国会」でやって貰いたかった。今の政治家に欠けているものばかりだから。彼の価値観が。
しかし、それは「拒否」されるだろう。
国が招いたのでもなんでもない一介の元大統領なのだから。

もし“演説”のことを国会議員に問えば、こう答えるだろう。

「それどころではない、いま我々は開会中であり忙しいんだ」と。
そいだろう。忙しいさ。およそくだらない、愚にもつかないことばかりに身をやつしているんだから。

でも言っておくね。「忙しい」とは「忘れる」ということに、「心を亡くす」ということに繋がるのだから・・・。

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