毎月書いているコラムの7月号に「18歳」を考えるということを書いた。
発端は選挙権。選挙権が18歳に引き下げられることになると言うことから始まって、成人とはなんだというような感想だった。
長年、我々の感覚の中には20歳と言う年齢が成人と未成年という区分けの中にあり、いわば大人と子供の“線引き”としてあったのが20歳。
先日、自民党の部会の中で、飲酒・喫煙年齢を18歳に引き下げようと言う議論があった。結論は持ち越しだったようだが。
それが、選挙年齢に付随しての事だとすればやはり違和感がある。
選挙権の事は政治論議であり、飲酒喫煙は健康論議なのだから。ベースが異なっているのだから。
その自民党の議論を受けて、18歳の青年が言っていた。
「要するに年齢を引き下げて、タバコ税や酒税を若者からも取ろうというころでしょ」と。
それを聞いた自民党の部会長が思わず言った。
「そんな発想は我々には無かった」と。
そうなのかもしれない。議員さんにはなかったのだろう。しかし官僚の中には税源としてあったことなのかもしれない。それを18歳の若者は見抜いていたということだ。
鋭いな、若者は。
戦争法案反対を叫び、憲法を守れと訴え、安倍内閣打倒を言う若者。官邸前や渋谷や全国各地に広がった「シールズ」主催のデモ。
その一角を「18歳」が担っている。
彼らに突き動かされるように、その親の世代や、祖父母の世代までもがその行動に参加している。
与党にとってすれば、ある意味“見下していた”はずの世代が、政治に無関心だと思っていたはずの18歳が、そこまで動き、事の要諦を把握し、声を挙げるとういうことは、それこそ「我々にはなかった発想」だったのかもしれない。
安倍政治の“愚行”を18歳が暴くとは想定外のことだったのだろう。
安倍政治の”愚行“は18歳を目覚めさせた。その18歳が眠れる大人を覚醒させた。そんな思いがしてならない。
たぶん、“凡庸”な国会議員よりも、その議員たちが“具”としようと考えた18歳の方がはるかに優れていたということになりはしないか。
帰還問題でゆれる福島。全町帰還を決めた、それが、数はともかく、実施されている楢葉町。そこでも「18歳」はある意味主人公なのだ。
彼らは「伝える」ということの意味を知っている。
冒頭のコラムにこう書いた。
「少なくとも18歳に“選挙”という大人の権利を与えると言うことだ。権利は与えられるものだけでいいのか。それは20歳以下の若者が熱望して獲得した権利ではない。大人の政治家がそれぞれの“思惑”があって決めたことなのだ。
「与えられた権利」と「勝ち取った権利」。喫煙・飲酒を権利だというつもりはないが、どこか民主主義の在り様とも似ているような気持ちがして。
2015年9月9日水曜日
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