2016年6月22日水曜日

「参議院」を考える

参院選が今日公示された。しばし、選挙の季節となる。

昔、駆け出しの頃、国会の中をうろちょろしていた頃、参院には「緑風会」という会派があった。保守系無所属の会とでも言おうか。

佐藤尚武。敗戦時、ポツダム宣言の文書を入手し、東京に打電したものの、”無視“された人物。後の議長の重宗雄三。

貴族院時代からの議員だった山本有三など、貴族院の”残党“や文化人、官僚がその多数を占めていた。

緑風会の流れをくんでいたのが二院クラブだとも言えようか。

あまねく政党化されていない参院だった時代。「党議拘束」などというものはほとんど存在していなかった。

やがて今の公明党が公明クラブという名称で議会に登場した。黒柳明、いつも大声で怒鳴っていた。

いつの頃からか。参院の政党化が一挙に進んだ。無所属は極端に減っていった。

かつて「良識の府」と呼ばれ、衆院へのチェック機能を果たしていた参院は、衆院の政党による「カーボンコピー」へと変遷の道をたどった。

全国区だった時代。有名人が、政治に向いているかどうかは無関係に名前が知られている人が議員となって登場した。

被選挙権は30歳。衆院の25歳を上回る規定がある。つまり、30歳にならないと「良識の府」にはふさわしくないとの判断があったからだろう。

有名人で最初に、全国区トップで当選したのはNHKのど自慢の司会アナウンサーだった宮田輝のはずだ。

その後も、鬼の大松や山東明子、扇千景・・・。
「参院は有名人クラブだ」なんて陰口を叩いていた記憶あり。

参院は独自の機能を発揮することなく、衆院に“埋没”した。

これが日本の政治の劣化の始まりだったのかもしれない。

参院無用論が謂われる昨今。

衆院議員は「代議士」だ。参院議員はそうは呼ばない。「議員」だ。参院には“解散”は無い。6年間の“終身雇用”みたいなもんだ。

すべてのケースがそうだったわけではないが、「解散」によって国民の信を問うた。選挙の争点を問うた。

“定期人事異動”のような参院選。「政党」に埋没している参院議員。独自性を発揮出来ない参院議員。参院枠と称して3人の入閣を求めるという「慣例」。

公示の日だからあえて言う。
「あなたはなんで参院議員を目指しているのですか」と。

応えられる候補者はいまい。
鞍替えありの当選可能性ありの知名度ありの・・・。

安倍政権は三分の二の確保を目指し、野党は“共闘”してその阻止を目指す。

「改憲」だからだ。その員数合わせのための参院選だからだ。

安倍はこの参院選で「国民の信を問う」という言葉を連発している。

「信を問う」と言う言葉は、政界用語は、衆院解散・政権選択・総選挙で用い有れる言葉のはず。

無知なのか、何が何でもと言うことなのか。

ちなみに、緑風会結成時の綱領の第一項にはこうある。

「新憲法の基調たる人類普遍の原理にのっとり、愛と正義にもとづく政治の実現を期する」と。

新憲法とはもちろん現行憲法を指す。

参院選に「水を差す」つもりで書いたのではありませんが。
参院の意義を為政者も国民も確認してほしくて・・・。

議員ならどこでも、衆参問いません。殿のご下命なら。ま、そういうことかもしれないけど。

そして明日は沖縄慰霊の日だ。参院選で”沖縄”が議論にされることは・・・。

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