2016年9月20日火曜日

「洗濯」すべき国なのだ

「日本を今一度せんたくいたし申候」。
坂本竜馬の言葉だと言われている。「せんたく」という言葉の意味は何を指しているのかは諸説ありそうだが。
言葉通り「洗濯」と受け止めたい。この国を洗い直すように変えたいということと理解する。

いろんな意味でこの国は汚れきっている。
竜馬の生きた時代の実相は知る由もないが。

思うところがあって倉本聡の「歸國」という本を読み返した。6年前に書かれたものだ。「3・11」の前年だ。

そこにはサイパンの海に沈んだ“英霊”達が一日だけ許された日本の姿を見て、再び南の海に還るため、集結した東京駅のホームでこんな言葉が語られる。

「戦後65年、日本はあの敗戦から立ち直り、世界有数の豊かな国家として成長した。
それでも、更なる豊かさを求めている。
豊かさとはなんだ。便利ということだ。便利とは何だ。便利とは人間がさぼるということだ。できるだけ体力を使わんということだ。
短時間だが、今の日本の姿をみて、人々が自ら汗をかくということ、身体を使うことを嫌うようになったことに俺は全く仰天した。
今の日本人は豊かと便利を勘違いしている。
ヒンコウという言葉を知っているか。貧しくて、倖せという二文字を重ねる。貧しくて困る貧困は避けたいが、貧しくとも倖せな生き方は出来る。俺たちの暮らしは元々そうだった。
俺たちは今のような空しい日本を作る為にあの戦いで死んだつもりはない!」


倉本聡という人の“メッセージ”だ。

豊かさ、便利さ、貧困・・・。今の日本を覆っている問題なのだ。

故国のためにサイパンの海に沈んだままの英霊は30万体を越えている。戦死した時のあのままの心でひたすら故国の倖せを祈っている。

戦争とは何んだ。戦争では必ず人間が死ぬ。一人か30万人か。数の問題では無い。

朝鮮戦争があった。日本はまだ自分たちが巻き込まれた戦争の傷も癒えぬ中で、「朝鮮特需」に湧き、経済成長を味わった。
ベトナム戦争があった。老若男女を問わずベトナム人が殺され、米兵も多数が戦死した。帰還できた米兵は、多くが戦争の戦場の心の傷に苛まれている。
「ベトナム特需」で日本の軍事関連産業を中心に、日本は更なる「成長」を遂げた。

成長は豊かさを生み、便利さを求める人たちを作り上げた。

戦争―。それは人間を不倖にする。

「成長」のために、「成長こそ」という“思想”の元に、嘘の上塗りが重ねられていく。
楽をしてカネを懐にしようと、欺くことをだけ考える輩もいる。
自分さえ良ければ、という価値観にはまった人達がいる。

そして生まれてくる「貧富」、あるいは「格差」。

日本の権力構造を一掃したい思いだ。

せめて、この国の人たちの「こころの洗濯」を求めたい思いだ。

洗濯は誰がするのか。そんな大きな洗濯機はない。盥も無い。
自らが自らを洗濯しなければならないのだ。志を持って。


「何の志(こころ)ざしもなき所に、ぐずぐずして日を送(おくる)は、実に大馬鹿ものなり」。

坂本竜馬はこんなことも言っていた。

頭の中に台風が吹き荒れている・・・。

“チェルノブイリ”異聞

  ロシアがウクライナに侵攻し、またも多くの市民、日常が奪われて行く。 ウクライナという言葉、キエフという言葉、チェルノブイリ・・・。 そう、あの最大の原発事故を起こした地名の幾つか。 「チェルノブイリ原発事故」。1986年4月26日。 ウクライナの北部にあるその...