イタリア、ローマの女性市長ビルジニア・ラッジ氏は2024年のオリンピック招致に「反対」として、立候補を取り下げるという。
五輪開催には税金が使われ「市民や国民の借金を増やすことになる、スポーツを理由に市内に大量のセメントを流し込みたくない」。そんな考えからだという。
あっぱれ!と言いたい。
東京オリンピック、首相はその任期を延期してまでも招致の立役者としてその場に臨みたいようだ。
あの「招致決定」時の飛び上がって喜びあう関係者の姿がまたも目に浮かぶ。
余りにも醜い光景だった。
都知事もリオから五輪旗を持って帰って来た。
2020年東京五輪はすでにして「既定事実」であり、それをもとに多くの事が成り立って行く。
それでいいのか。ちょっと待てよ。
冷静になってこの国の現状を見、考え、これまでの、これからの「オリンピック至上主義」が何をもたらすのか。“良識”を持って考えるべきだ。
「ローマは一日にして成らず」という”格言“がある。
先人が営々として築いてきたローマという地を二週間のために壊したくない。
そんな思いが若い女性のローマ市長の胸中にあるのではないかと。
東京だって女性知事を誕生させたのだ。
ローマでは1960年に五輪を開催している。その時の”借金“はまだ返せていない。これ以上借金を重ねてどうするんだ。そんな為政者としての「まとも」な考えを借金だらけのこの国はどう見ているのだろう。
カネだけの問題では無い。
「交通渋滞も激しく、ただでさえ混乱している街に、これ以上混乱の種を持ち込まれるのはまっぴら」という意見、「五輪で建設される施設は市民の生活と無縁のものばかり。それなのに税金が上がるなんて許せない」といった声。もちろんローマ市民の声だが、東京都民の声と捉えても同じように思えるのだが。
「東京五輪が日本の経済回復に直結したり、東北などの被災地復興につながるとはとても思えない」。
この国にはいろいろな問題が、「人」に関する問題が横たわっている。
いずれも国や東京都のやる気の問題と予算だ。
子供の問題、待機児童。
老人の問題、ホームの待機老人。
国は、特養老人ホーム・養護老人ホーム・サービス付き高齢者住宅などの高齢者施設12万人分整備のため、900億円以上の補正予算を組んだという。
でも、それじゃとても足りないのだ。
東京五輪の予算は兆の単位をはるかに超える。新国立競技場の建設費だけでも何千億円。
東京五輪をめぐる招致時からの金銭疑惑。競技場建設を巡るすでに「ドブに捨てた」ようなムダ金。そして更なる、新たな、「金銭疑惑」も伝えられる。
自然景観は壊されていく。
「豊洲」の問題もオリンピックが関係している。弾丸道路が作られるという。いや、作られ始めている。
その他関連の公共工事も盛んだ。その余波を地方は、被災地は被る。五輪のために建築関係の人手が足りないのだ。
東京五輪が決まった時、まだこの国は「3・11」の真っただ中にあった。オリンピック招致よりも民の安寧を図ることが政治の主眼であるはずなのに。
テレビはこぞって東京オリンピックに向けて事を伝えている。
東京オリンピックに向けて各選手たちは「東京」「東京」を合言葉のように動き始めている。
アスリートたちはそれこそメディアに乗せられているの感ありだ。
「東京オリンピック」に関して“疑惑”は多分払拭されまい。
でも、「全ての道は五輪に通ず」ということか。
アベノミクスを加速させると懲りもせずに言い募る安倍晋三。
今、この国は、この国にとって「祭典」を実施するにふさわしい「国力」を持っているのだろうか。
国民がこぞってそれを望んでいるのだろうか。疑問だ。
オリンピックを否定しているわけでは決してない。あの感動は何物にも代えがたい。
しかし、スポーツとまつりごととは別なのだ。
問題が多すぎる東京オリンピックに“疑義”を呈しているだけだ。
“アベノマツリ”に巻き込まれることが将来、必ずこの国に「禍根」を残す。
ローマではないが、またこの国の借金が膨らむ。
まさに年金暮らしの“老人のぼやき、日曜妄語”なのであります。
2016年9月25日日曜日
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