2016年11月10日木曜日

何があっても「日米同盟」の“深化”

アメリカ大統領を選んだのはアメリカ国民だ。
安倍首相を選んだのも日本国民だ。選出に至る制度は彼我にいささかの異なりはあるものの。

あれほど「いぎたない」言葉で相手側を誹謗し、ま、それはクリントンだって同じようなものだったけれど、その言辞の一つ一つに歓声を上げていたアメリカ国民。

大いなる“嫌悪感”を持って見て来た大統領選。

勝ったトランプはいきなり「紳士」に変貌した。勝まではトランプの中にあるジョーカーであり、勝ったらA(エース)からK(キング)までの普通のカードだということかい。

日本の識者と称する人たちは言う。
「選挙ではよくある話だ。関心を買うために選挙中は激しいことを言うが、終われば普通の人になる」と。

そうだろうか。

その人が発する言葉には、すべてその人の本質が表れているのではないだろうか。
いきなり発せられる「綺麗ごと」の言葉は、以前の言葉が過激だった分、いいことを言っていると映るのではないか。

だとすれば、トランプの演説のスピーチライターは大したもんだ。

トランプは日本の安全保障政策にはっきり異論を唱えていた。自分の国は自分で守れ。金儲けしているくせにと。米軍基地は引き上げるというようなことまで言った。

ある意味日本はトランプに”喧嘩“を売られたようなものだ。

日本政府はTPP推進、トランプはTPP反対。
何のために誰のために野党欠席の本会議で可決させたのか。

安倍自民の「政治感覚」を疑うしかない。すくなくともこの事に関してはトランプが考えを転換しない限り日米同盟の深化はないはず。
にもかかわらず、「日米同盟の深化」をなんとかの一つ覚えのように言い募る安倍。


フランスやドイツの首脳は危機感をはっきり表明した。
ロシアや中国はトランプを歓迎した。

西側といわれる国々の秩序は“崩壊”の危機にさらされるのかもしれない。

それにしても、安倍とトランプには類似性を感じてしまう。
トランプは言った。「偉大なるアメリカを取り戻す」と。
安倍もよく言っていた。「日本を取り戻す」と。

選挙の前に言っていた公約をいともたやすく180度転換させる。TPPをめぐる安倍自民の政策だ。
今はまだ“理念”だけだが、トランプだって正反対のことを言い出さないとは限らない。

トランプは父親に常に言われていたそうだ。「お前はキングだ」と「キングになれ」と。
安倍も祖父にそういう薫陶を受けていたかもしれないことは容易に想像出来る。

会って話をすれば意気投合するのかもしれない。ドナルドとシンゾウは。
いかにしてトランプに接近するか。それを模索中の安倍政権。
ルートを間違えば、「深化」どころか「退化」だってありうるし。


来年1月の就任式までアメリカは混乱の中にあることは必定だ。アメリカは一つだとドナルドは言うが、一つになれるわけがないだろう。
トランプが勝ったのは投票率が低かった、黒人やヒスパニック系が投票所に足を運ばなかったからだとも言われる。

ならば、トランプ政権を誕生させたのはアメリカ国民自身なのだ。
安倍長期政権を誕生させたのも日本人がそれを選択したからだ。日本だって国会議員の選挙の投票率は低すぎる。

投票率の高低は選挙結果を左右する。常識中の常識だ。

政治にも外交にも常に「裏」がある。裏を知ることは叶わないから、表に出された、表面的なことだけで書いてみた。

いつの世でも「実相」は知見不可能なことが多い。それを百も承知の上で。

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