2016年12月13日火曜日
歳の瀬に想うこと
歳月人を待たず・・・なんてことを言われるが、歳の瀬は、年末の日々は足早に過ぎて行くようだ。
その速さの中で、何を心にとどめておくか、それが問題なのだとも思う。
12月、あの8日があり、11日も当然あった。
真珠湾攻撃、奇襲。1941年12月8日(日本時間)。
「大本営発表、我が帝国陸海軍は米英と戦闘状態に入れり」。
宣戦布告と戦闘状態との時間差は・・・。奇襲攻撃といわれる所以。
日米開戦を阻止しようとした日本人、朝河貫一を思い、寺崎英成を思う。
僕は「あの時」すでにこの世に生を受けていた。
今、12月8日は何の日だ、と問われて真珠湾攻撃があった日。開戦の日だと即答できる人は少なくなった。
「忘れてはならない日」を無意識に「忘れている」ということ。
11日、ある集まりに出向いた。「一言挨拶を」と言われ、「今日は何の日ですか」と会場の人に問いかけてみた。
無言だった。
あれから5年9ヶ月ですよと言う。やっとそこで納得したような、はっとしたような声が会場を支配した。
瞬時にして多くの死者を出した日。
僕の知り合いはその「死者」の中には含まれてはいない。
しかし、そこに数の問題では無く、多くの死者がいたということを忘れてはいない。
死者の問題だけではない。福島にあった出来事。
「変わる」と言って「変わらない」ことを選択した「我らがニッポン」。
人は2度死ぬという。
命が断たれた時が一回目の死。そして忘れられた時が2度目の死。
日本は死ぬべきなのか、死なざるべきなのか。
歳末の慌ただしさは、人から「考える時間」をも奪うのだろうか。
考える、ということを考えましたか。むのたけじの言葉が胸に刺さる。
先頃来日したウクライナのノーベル文学賞受賞作家、スベトラーナ・アレクシェービッチはこんな事を言い残して行った。
「私が福島で目にしたのは、日本社会に“抵抗”がないということです。
人々が団結して国に対して、自分たちの悲劇を尊敬すべきだという形での”抵抗“が日本の社会にはない。”抵抗の文化“がないのです。
この言葉の持つ意味を考えている。
そして、「時代を追うこと、それは人間を追うことです」と言った作家としての言葉も。
幾つかの言葉を携えてこれから「塾」に向かう。
「言葉を友達に持とう」という寺山修司をも懐かしみながら。
歳の瀬に想うこと。何本か書いてみるつもりだ。
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