2017年8月29日火曜日
「太平の眠りを覚ます・・」
朝、まだ熟睡中、夢の中にいる時、傍の携帯電話機がいままで聞いたことの無い“警報音”を鳴らし、Jアラートで北朝鮮のミサイル発射を伝えた。
「緊急避難」を呼びかけていた。
ようやく起き出し階下にあるテレビをつけた。
NHKの速報番組。
いやいや煽っているな。の冷めた感情。
なんとなく浮かんだのが「太平の眠りを覚ます蒸気船」の句。
眠りを覚まされたのですから。
北朝鮮が日本に向けてミサイル発射と言う「国家の存亡にかかわる事態」なのに、私事で恐縮。
数分待ったがミサイル被害なし。北海道沖に着弾とのこと。
ミサイルは発射されてから数分、長くても10分後には着弾する。
Jアラートが鳴った時にはすでに事は終わっているはず。
テレビに言われて即座に避難した人もいるようだ。どこに逃げていいのかわからずに。
ミサイルは強固な建物も破壊する。その威力はイラクやシリアの映像で周知のはず。
安全な逃げ場なんてないんだ。
蒸気船ならぬミサイルの襲来に上も下も冷静さを失ってしまう。
社会生活に影響を与え、株価や円など経済活動に影響を与え、右往左往させる。
北の脅威を味あわさせる。北の狙いはそこなんだろうとも。
「空襲警報発令、空襲警報発令」。あのころ民草はこぞって近くの防空壕に殺到した。70年後の太平の時代には防空壕なんてない。
もしも、それら避難する場所があったとして、そこに人々が殺到すればどうなるのか。
パニック騒ぎになる。避難者同士の争いも引き起こしかねない。
いったいぜんたいこのJアラートなる警報システム、国は何を狙っているのだろう。
やがて官邸での記者会見。総理、外相、防衛省、官房長官。
曰く「ミサイルの動きは発射前から完全に把握していた」。
ならば「恐怖のアラート、混乱のアラート」なんてならさなくてもいいではないか。
そのことは知らせるべきだが、いち早く収束させる「広報」をするのも政府の役目。
米朝対立と言う構図の中に畢竟日本はまき込まれていく。
北の暴走を止める手だては持たない。
またJアラートの鳴る朝を迎えることだろう。
ミサイル騒動がなければ、きょうは亡くなった羽田孜の事を書きたかった。
「瀬川ちゃん」「孜ちゃん」と呼び合う仲だった。
九段の議員宿舎に一家で住んでいた。
ある日、カバンを斜め掛けにした男の子二人が学校から帰ってきた。あの狭い議員宿舎の部屋の中に卓球台が置いてあり、兄弟はすぐに卓球遊びに夢中になっていた。
「おい、卓球小僧」と呼んでいた長男はすでにして議員となり、参院の要職をこなしている。
彼の秘書と連絡を取り合った。あの省エネルックをめぐり、みっともないから止めろと言い、これが大事なことあのだと言う彼と時々やりあった。
省エネの服は地元のシルクを使っていた。有楽町の蚕糸会館の中に、今でいう長野のアンテナショップみたいなところがあり、そこでシルクのシャツやパンツ、挙句はふんどしまで買わされた。たしかに肌触りは絶妙だった。
メシを食いに行こうと言うことになる。メシを食い、帰ろうとなると彼は財布の中にカネが無いという。払うよとこっちが言う。
居酒屋の様な所の勘定を何回持ったことか。
カネには無縁の男だった。
友人の秘書の願いは孜ちゃんを総理にすることだった。
わずか64日で退陣したが、その秘書は言ってきた。
「とにかく総理にしたんだからな」と。
有為転変。そんな言葉が当てはまる政治家人生。
そういえば総理になった時、郡山に来た。蕎麦好きの彼を郡山の素人そば打ちの家に案内して一献傾けた。その家には彼の色紙があるはずだ。
どこにでも気軽にいく。何処に行っても気取らない。
稀有な政治家だったことだけは確かだ。
リハビリの有った日の体はだるい。
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