2015年11月27日金曜日

牛のはなし

毎日牛のステーキを食べているから元気なんだと言う高齢者もいる。
ステーキ、素敵なご馳走だ。
牛のステーキにはとんとご無沙汰だけど。特別な日でもないと手が出せない。

ステーキ屋さんは「和牛」を売りにしている。
その和牛の子牛の数が減り、せりの価格が上昇しているという。7割以上もだとか。牛肉の小売価格も2割ほど高くなっている。

牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ。

TPP交渉でも重大案件だった牛肉の価格。
国はなんだかよくわからないけど「攻めの農業」とかなんとか言って和牛の輸出を強化する方針だというが・・・。

酪農家の高齢化。米農家に補助金をばらまき、生産者の負担を軽減しようと言ってはいるが、米も牛も同じ。
成り手が減っている、高齢化で、ということへの措置は取りようがないだろう。

和牛は希少価値の高嶺の花にますますなって行くのか。
オーストラリアンビーフやアメリカンビーフがスーパーに並ぶことになるのか。

福島の浪江町と南相馬に「希望の牧場」というのがある。
原発事故で放射能汚染された牛、牛の飼料の牧草。
牧場の主は事故後、行政から指示された牛の殺処分を拒否した。

出荷するわけではもちろんない。我が子のように育てた牛を殺すのに忍びないということだ。
300頭ほどの牛が生きるために毎日餌を食む。

どうしても牧草が足りない。災後は全国からの支援も寄せられてはいたが。

隣県宮城の白石市にも汚染された牧草がある。白石市はその牧草を希望の牧場に搬出することにした。
多分、牛は喜んだに違いないと思うけれど。

それに農水省から「待った」がかかった。「汚染物の持ち込みは復興の足かせになる」というのがその理由。

搬出に違法性は無い。白石市は国の要請を拒否した。
浪江の町長も搬入に異論を示している。

本格的冬がくる。餌がなければ牛は餓死するかもしれない。
搬入は続けられていると聞くが。

遠藤周作の著作に「お馬鹿さん」というのがある。その中で著者は牛の眼だったか馬の眼だったか、記憶は定かではないが「イエスキリストの眼に似ている」と書いていた覚えがある。

福島牛・・・。飯舘ミートバンク。福島の和牛は人気が高かった。避難地域の酪農の実態はつまびらかにしないけど。

牛と社会構造・・・。食う、生きるということにつながっているはなし。

“チェルノブイリ”異聞

  ロシアがウクライナに侵攻し、またも多くの市民、日常が奪われて行く。 ウクライナという言葉、キエフという言葉、チェルノブイリ・・・。 そう、あの最大の原発事故を起こした地名の幾つか。 「チェルノブイリ原発事故」。1986年4月26日。 ウクライナの北部にあるその...