福島県内の知人から、福島県産の「ぶどう」を貰った。箱に入ったぶどう。箱を開けると一枚の紙がついている。
放射性物質簡易検査報告書。JAが生産者に渡した“報告”
セシウム134・セシウム137、検出せず。
「簡易分析したもので、あくまでも目安の値です。結果の数値については証明するものではありません」との付記も。
「お墨付き」がなければ“流通”出来ないということなのだろう。
5年後に収穫されたブドウの現状。
これが今の「福島」なのだ。
米は全袋やっとNDだったと言う報道。安堵する米農家。5年後の福島なのだ。
テレビでは毎夕空間放射線量を“義務”のように伝えている。1Fの排水口付近の線量も。
いわき沖では、やっとヒラメの試験操業が可能になった。何の魚種にしてもいわきの水産業、漁獲量は減少したままだ。
でも、漁協は「一歩前進」と受け止める。
3・11前までは“常磐もの”は人気商品だった。
いま、いわき漁協の、漁業者たちは「築地市場移転」の話題をどう感じているのだろう。
相変わらず「ノンベクレル」という“評価”が一部で大手を振って吹聴されている。例えば牛乳・・・。
なんか“くそくらえ”という感情に捉われる。
「証明」、「お墨付き」が無いと売りに出せない農作物・・・。
「福島では何も終わっていない」ということなのだ。
過日の台風9号。豪雨は福島も襲った。1F構内には大量の雨水が流れ込んだ。
遮水壁ぎりぎりだったと東電は言う。汚染水タンクに収容された雨水は高濃度の汚染だったという。
“東京電力は22日、台風9号による降雨の影響で、福島第1原発の護岸に設置された井戸から汚染地下水が地上にあふれ、港湾内に流出する恐れがあると発表した。地下水があふれ出ないよう、東電は護岸に設置された五つの井戸「地下水ドレン」などから、断続的に地下水をくみ上げている。東電によると、22日午後4時50分現在、海抜約4メートルの護岸地上に対し、観測用井戸で測定された地下水位は約3メートル50で余裕は約50センチしかなかった。
構内の山側から海抜の低い護岸に流れ込む地下水は、護岸沿いに鋼管を打ち込んで造られた「海側遮水壁」でせき止められている。護岸付近にたまった地下水は地中の放射性物質で汚染されているため、地下水ドレンでくみ上げた後に浄化し、港湾内に放出している。
地下水ドレンからくみ上げられた地下水は一時、中継タンクに保管される。東電が12日に採取した中継タンクA内の放射性物質濃度は、セシウム134が不検出、セシウム137が1リットル当たり9.9ベクレル、ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質が同4700ベクレル、トリチウム(三重水素)が同3334ベクレルだった“。
地元紙の記事だ。1Fの現状だ。
まだ進路が定まらない台風10号。それが直撃することだってあり得る。
地震が頻発している。地球規模で。
「この地震による原発への影響はりませんでした」と、地震速報の度にテレビは“教えて”くれる。
台風に関しては、1F状況はほとんど報じられない。
テレビが映し出すのは、豪雨、暴風雨が吹き荒れる、いや吹き荒れそうな、言ってみれば「絵になる光景」ばかりだ。レポーターの「奮戦風景」だけだ。
被害があったがけ崩れ、倒木・・・。
その「絵になる」報道を否定しているわけではない。絵になるかならないか。その取捨選択はテレビの「宿命」のようなものだから。
1F構内の雨水の状況は絵にならない、絵に出来ない・・・。
被害にあっていない多くの人は、交通手段だけが気になる。難儀する。
天気予報だけが気になる。傘があろうが無かろうが。身近な身の回りの出来事が気になる。
1Fを心配する人がどれだけいるのだろうか。
もし「1F構内」で、排水口付近で豪雨がもたらした汚染水流出が発生したらどうなるのか。どうするのか。
「忘れてはいけない福島」。豪雨もその一事なのだ。
そして豪雨はせっかくNDになっている農作物にも無限の被害を与えかねないのだし。
2016年8月28日日曜日
“チェルノブイリ”異聞
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