21年前のきょう、1月17日。早朝、会社の宿直からの電話でたたき起こされた。会社に行ったものの、とりあえずはテレビの情報を見比べているしかなかった。取材の応援スタッフを決め、待機させ、キー局や大阪の局と連絡しながら、何日か会社にいた。
いたことはいたけど、それはやはり“傍観者”でしかなかった。“当事者”にはなれなかった。
しばらくして、朝日新聞の県版のコラムに書いた。「阪神・淡路大震災と方丈記」という愚にもつかないコラムを。
衝撃的な天災だった。
その時、3.11が来るなんて夢想だにしていなかった。
2011年3月11日、午後2時46分。
1995年1月17日、午前5時46分。
なんで「46」という時間が重なっているんだ・・・。
多くの死者が出た。どうにか助かった人達は、それからの「生きる」ということに懸命だった。
あげく、3・11は原発事故という未曽有の災害を伴ってやってきた。
被災者がいる、助けようとする人がいる、支援に奔走する人がいる。その時、人は自分の中の「正しさ」を判断しながらそれに対処していた。
阪神・淡路大震災と東日本大震災。
ともに多くの教訓を生んだ。さまざまな事を人は学んだ。
神戸と東北3県はどこかでつながった。
神戸の小学生が福島を訪れる。南相馬の小高を見て回り、仮設の人の話を聞き、福島の実相を学ぼうとした。
子供たちは見たことを、聞いたことを、知ったことをどうするか話し合った。
「自分たちの言葉で、そのことを友達や知り合いに伝えよう。話をしよう」と決めた。
自治体はお互いに学びあった。どこかで1・17の経験が3・11後に生かされている。
郡山の開成山公園では、1・17後、早朝にキャンドルをともして「慰霊」と「鎮魂」の祈りを捧げる小さな運動が行われてきた。
今年もそうだった。
関東大震災後、東京の道路は大幅に拡幅された。しかし、今は、それを広いと感じている人はいまい。
神戸でも道路が狭いため、救出・救援活動は困難を極めた。
原発事故、避難命令。
狭い道路一本しかない“避難経路”。届かない情報。
津波の被災地域でもそうだ。避難道路があれば逃げ切ることが出来たはずの人も沢山いる。
3・11後、“復興”なるものについて子供たちはこういった。
「広い道路を作るべきだ」と。
原発再稼働。原発そのものの安全性が前面で論議される。避難道路や避難手順のことは後回しだ。
天災にしても原発事故にしても、人は「逃げる」ことしか出来ないのだ。
「逃げる」ことによって「生きる」ということが出来るはずだ。
数日前から、また列島各地で地震が多発している。いつ、どこになにが来てもおかしくないような気にすらなる。
都市の在り方含め、人知としてやれることはまだあるはずだ。小高を訪れた子供の話を聞いた友人は「想像力」を巡らせているはずだ。
神戸の復旧は、どこか「人工的」なものの感じがする。復興住宅には「人のぬくもり」が無くなったという。
丸5年を迎えるまでに、正しさとは何かと言う漠然としているようで、人間が失ってはいけないことについて、未だ出し得ない、自分を納得させることの出来ない“思考”の根幹について、語れるようなものを問い詰めて行く“作業”をあらためてしなくてはならないと思っている。
それは社会の在り方であり人の在りかたであるということも含めて・・・。
きょうは静かに神戸のことを想うつこりだ。なにかと縁(えにし)のあったところでもあるから尚更に・・・。
2016年1月17日日曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
地に墜ちた「天下のご政道」。
菅義偉という“無能”な政治家が、何かの手練手管を使ったのか、とにかく内閣総理大臣という「天下人」に昇りつめた。 最近の総務省の役人を菅の長男による「接待疑惑」が報道され予算委でも疑惑がやり玉にあがっている。長男が勤務している「東北新社」の名前を久しぶりに聞いた。 創業...

-
1945年6月6日。沖縄根拠地隊司令官の太田實中将は本土の海軍次官に宛て打電した。 “本職の知れる範囲に於いては、県民は青壮年の全部を防衛召集に捧げ、残る老幼婦女子のみが、相次ぐ砲爆撃に家屋と財産の全部を焼却せられ、僅かに身を以って軍の作戦に差し支えなき場所の小防空壕に避難、...
-
東日本大震災から8年だ。毎年考えて来たのが「復興」という言葉、その事象。 未だもって、「復興」を言う言葉には“わだかまり”があり、自分の中で“消化”されていない。納得できる“回答”を持っていないのだ。 今も「3・11」は続いている・・・。 勤労統計の“偽装”は、この国の根...
-
昔、佐藤栄作が内閣総理大臣だった時、官房長官をつとめていた人に橋本登美三郎という人がいた。富ヶ谷に大きな家を構えていた。 富さんという愛称で呼ばれていた。茨城県選出の議員。もともとは朝日新聞記者。南京支局長の経歴もある。 富さんの後援会は「西湖会」と言った。富さんは朝日新聞...

0 件のコメント:
コメントを投稿