大阪市内であった中学生男女の殺人事件、その事件について何かの薀蓄を語るものではない。
相変わらずというか、無定見な報道の在り様に怒りすら覚えると言うこと。
事件が発覚してから、それこそテレビのワイドショーは、いつもながらの”野次馬論議“。タレント評論家が言いたい放題。まったくいつも事件が起きた時とかわらない。
子どもが殺されているんだぜ。好奇心を駆り立てる話じゃないんだぜ。
なんで、死体の描写を事細かに伝えなくてはいけないのか。テレビも新聞も。たぶん週刊誌は、もっと猟奇的に書くのだろうが。
「殺されていた」でいいではないのか。何万人の人の好奇心を満足させるより、家族や友人の心情に気を配れよ。
3・11で多くの死者を見聞きし、時にはそれを写真で知り、「死」を伝えることの難しさを学んだはずなのに。
70年前の原爆や戦争での多くの死。その残酷さを認識してかしなくてか。
事件の残忍さを事細かに言うのは裁判だけでいいのではないか。殺され方の仔細を報じることに何らかの意義があるのだろうか。と思っていた。
犯人が逮捕された。45歳の男。同様な連れ去り事件を数回起こしている前科あり。逮捕のきっかけは防犯カメラの映像の解析だけではなかろう。「マエ」を調べての洗っての割り出しなんだろう。
そして何とも言えず嫌な気にさせられたのが、犯人の職業。警察によればというクレジットつきで。
「福島の原発除染作業員」。除染会社の契約社員だとどこもが報道する。
除染作業員という“職種”が生まれたのはわずか4年前からだ。しかもこの犯人はそれに従事したのは1年かそこいらのようだ。
45歳の男。20年以上にわたって他の職業にだって従事していたのではないか。
なぜ、最近の、福島から一時帰宅をしたばかりの職業だけが報じられるのだ。
報じる方に「悪意」はなかろう。福島に対しての。しかしネタとして飛びつきやすい職業だったのではないか。
除染作業と殺人との間になんらの関係も無いはずなのに。
「除染作業員」という言葉に、今後は更にある種の“偏見”のようなものが生まれるかもしれない。その作業は福島にとって欠かせないものであるにもかかわらずだ。
その職業を報道することに、事件の解明に資する何かが存在するとでもいうのだろうか。
事件にかかわる情報が欲しいばかりに、その職業もネタとされ、本筋を違った方向にも誘導しかねない。
作業にあたっている人にとっては迷惑な報道ですらあるのではないかとも。
それはどこか東電の責任論との通じるような事にも思えて。
事件の本質とは違う意味で、どこか「安易な報道」という感が免れない。
2015年8月23日日曜日
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