昭和の時代に「福島誠一」という人がいました。歌人として。昭和46年12月23日に亡くなりました。刑死。39歳。福島誠一はペンネーム。本名は小原保。あの「吉展ちゃん事件」の犯人です・・・。
テレビの番宣みたいですが、今夜と明日、テレビ朝日系列で放映される「刑事一代」。有名な警視庁刑事平塚八兵衛のドラマ。帝銀事件や三億円事件にかかわり、昭和38年に起きた上野の村越時計店の子供、村越吉展ちゃん身代金誘拐殺人事件の犯人、小原保を「おとし」て逮捕に結びつけた刑事のドラマ。
小原保は福島県石川町の生まれ。ドラマの中でどういう風に描かれているかはわかりませんが。貧農の出。時計職人。死刑の判決。刑務所で短歌を詠むようになります。そして「土偶」という短歌誌に寄稿するようになり、刑死するまでの2年数ケ月に378首を書いたといわれています。そのペンネームが福島誠一。故郷に、母に寄せる思いが福島を名乗らせ、誠のこころに立ち返ろうとしたのか。誠一という名前をつけ。彼が作ったのか、編集者がつけたのかはわかりませんが。
十年以上前、偶然彼の歌集を手にし読むことができました。誰かの手に渡ってしまい、今は読むことがかないませんが。
書き留めた数首。
詫びとしてこの外あらず冥福を炎の如く声に祈るなり
ほめられしことも嬉しく六年の祈りの甲斐を見たるついの日
世をあとにいま逝くわれに花びらを降らすか門の若き枇杷の木
和歌を読む限り、そこに人間の「業」を感じ、「罪と罰」を考えます。
ドラマの中ではどう描かれているのか。録画でもしてゆっくり見てみようと。
石川町には「ようこそ水晶の町へ」という看板が立っていました。小原保、福島誠一のことを調べていた時は。水晶はどこからも出ないという話でした。ウランの鉱脈があったといわれています。戦時中は、軍の管理統制化にあった場所があったと聞きました。近くに温泉があり、ゴルフ場があり、野球で有名な高校があり、静かな町です。小原保のことは誰も口にしないと地元の人から聞いたことがあります。