先日のある忘年会。30人余り。お座敷で。
トイレで中座した亭主。戻って来る途中で発見。そろそろ「おひらき」と読んだ店の人が靴を並べている。一足一足をスポンジの靴磨きで拭いている。磨いている。若いお兄ちゃん。店主の指示なのか彼の自発的行為なのか。嬉しい光景でした。中にはかなり汚れた靴もあったのではないでしょか。1時間かけて歩いて来た人もいたし。もっともその人はスニーカー。磨がけたかどうか。雑巾で拭いたかも。
座敷に戻り談笑しばし。おひらき。中締め。綺麗になった靴が並べられており。しかし、誰しもその靴が磨かれていたことに気づかず。もちろん店側もそのことは口にもせず。亭主は感謝の意を伝え。
以前、靴を磨いておきますーーというのを「売り」にしていた店があったような記憶があります。秘すれば花という例えはこの事とは違いますが、黙ってやっておく。その店の一つの心意気かと。
昔。東京は赤坂などの料亭。下足番なるおじさん居り。もちろん磨いていました。そして靴によって客の品定めも怠らず(笑)。後にその料亭に集った人達の品定めをした本を書いた下足番のおじさん。おじさんに「チップ」を渡していた粋人もいましたが。
お客様サービスの原点の一つをみたような年の暮れ。店の名前はあえて伏せましょう。店の本意とするところに背くような気がするので。