2009年3月10日火曜日

「あいづさかしたちょう」

先日。福島県会津坂下町で母親が子供を殺すという事件がありました。当然「上り」のニュース。上りってのは業界用語でローカル局からキー局に上げるニュース。つまりキー局発の全国ニュースってことです。


キー局の女子アナがそのニュースを読んでいました。そして「会津さかしたちょう」って読んだんです。「会津ばんげまち」です。正しい読みは。原稿にルビがふってなかったんでしょう。思い込み。単純な読みに。おそらくローカル局からすぐ連絡が行ったのでしょう。しばらくして訂正。「先ほどサカシタチョウって言ったのはバンゲチョウでした」って。チョウでなくマチの筈なんだけど。


一般的に、「町」をチョウと読むのは都市部。地方はマチって理解していればよろしいかと。もちろんそうでないとこもありますが。


テレビ局の報道には必ず「全国都市名なんとか」っていう虎の巻が置いてあるはずです。数冊にも及ぶ必携の本。全国の地名の正しい読み方が記載されています。若い頃は事件、事故で住所を書くときは必ずそれのページを繰って漢字にルビをふっていました。いや、そういうふうに"教育"されました。アナウンサーは思い違いで誤読の恐れがあるし、書く方の勉強にもなるし。


地名にルビをふっていないとデスクから怒りの声が飛んできて突き返されたものでした。


地方には難しい地名や読みがあります。坂下の「バンゲ」もそうですが、例えば麓山が「はやま」だったり、河内が「こうず」だったり。安積町だって「あさかまち」って都会の人は読めない。「あさかまち」ってパソコンで入力しても変換されない。


地方局に来てからも新人のアナウンサーにはこの地名のことをかなりうるさく言いました。まずそれから覚えろって。そして休みの時はあっちこっちへ行けと。一回行けばそこの地名は忘れない。間違えない。そしてニュースの原稿でその地名を読むときに、その地域の光景や空気が、町並みが思い浮かんでれば、ただ記者が書いた原稿よりも「こころ」の通じた読みになるはずだと・・・・。


「さかした事件」。ルビふらなかったことも含めミス、ある意味「誤報」。今のテレビはチェック体制が出来ていないと。それは読みだけにとどまらず、スーパーの誤字にも散見される。強いては番組そものもの信用性にも。いろんな意味でチェック体制や確認など、どうも緊張感や責任感、メディアとしての有り様に対しての自覚がなさすぎるような気がしているんです。


あやまちをあらたむるにはばかるなかれ。そうは言いますが、あやまれば善いってもんじゃない。謝らないような"努力"をすべきかと。伝えられるニュースの中味も信じられなくなっては終わりなんだから



“チェルノブイリ”異聞

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