2010年11月16日火曜日

木鶏に至らず

横綱白鵬についに土。63連勝でストップ。双葉山の69連勝に及ばず。話題をさらっています。マスコミはこぞって双葉山の座右の銘「我、いまだ木鶏たり得ず」を引用。「木鶏」。名言です。


荘子の言葉と言われており、安岡正篤氏が双葉山に送った言葉だといいます。


「紀渻子という人が闘鶏の好きな王のために軍鶏(しゃも)を養って調教訓練しておりました。そして十日ほど経った頃、王が"もうよいか"とききましたところが、紀渻子は"いや、まだいけません、空威張りして「俺が」というところがあります"と答えました。さらに十日経って、またききました。"未だだめです。相手の姿を見たり声を聞いたりすると昂奮するところがあります"。また十日経ってききました。"未だいけません。相手を見ると睨みつけて、圧倒しようとするところがあります"。こうしてさらに十日経って、またききました。そうすると初めて"まあ、どうにかよろしいでしょう。他の鶏の声がしても少しも平生と変わるところがありません。その姿はまるで木彫の鶏のようです。全く徳が充実しました。もうどんな鶏を連れてきても、これに応戦するものがなく、姿をみただけで逃げてしまうでしょう"と言いました」。


これが安岡さんの語った話だそうです。この話を聞いてから双葉山は木鶏たらんと欲し、日夜精神修養に努めたとか。


良い言葉です。木鶏クラブとか木鶏会とかいう名前の勉強会も各所にあるようです。木鶏たらんと学ぶ人もあり。もちろん、それになりうるような人物は輩出されていないようですが。


少なくとも木鶏になろうとした、目指した白鵬に賛辞贈りたい。敗れてこそ己を知ることができたのではないかと。双葉山は連勝が止まったあと連敗したとか。白鵬の今日の一番、連敗しなければ双葉山を越えたことになるかもしれない。


翻って政界。木鶏はおろか軍鶏もいない。居るのは風見鶏だけ。風見鶏、これは中曽根康弘につけられたあだ名だった。菅は何の鶏か。鳥か。渡り鳥でもないし・・・。鳥にたとえたら鳥に失礼か。


倫理、道徳、哲学を学ばずして政治を語るなかれ。人心の離反、♪誰のせいでもありゃしない、みんなおいらにせいなのよ♪。



“チェルノブイリ”異聞

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