「知る権利」、この言葉はいつの頃から“市民権”を得たのだろうか。というか、使われ始めたのだろうか。そんなに昔からあった言葉ではないような気がする・・・。
知る権利、それは憲法にも保障されている権利なのだろう。当然だ。それが損なわれることに人々は大いなる怒りをもって相、対する。それも当然。
すべて民主主義国家においては、人々は「知る」という権利をもっているはず。
では、その「知る」ということは何を指すのか。何かを知って、それを自分のものとしていることでいのかどうかということ。
知るということは学ぶということの前提。いや、学んで知るとも。そして、知って、学んだなら、次は考えるということ。
権利を行使して「知った」ことがどう生かされているのかということ。
いわゆる被災地では、未だに、いや、これからもっと「風化」ということが言われるようになるはず。風化とは忘れるということ。忘れるということは「知る」努力を怠るということ。そんなふうに思う。
その権利を持っている人達は、どれだけその権利を行使して「知る」という努力をしたのだろうか。
知るということを権利の一環としてとらえるのなら、知るという積極的義務も発生するのではないかと言う、いささか屁理屈めいた話の展開なのだが。
被災者意識や被害者意識に凝り固まっていうのではないが、被災地に対しての「知る権利」の行使はこころもとない。
積極的に知ろうとする努力をしている人は少ない。知るという権利を行使して、学び、考えれば、おのずから導き出されてくる帰結に対しても、それを考えようとする努力が欠けているということ。
例えばマスコミが言う「知る権利」。報道の自由との兼ね合い。権利を行使して得たものを、それだけ伝えているか、その義務を果たしているのかという問題。
復興という決まり文句みたいなものが、その実相が「つかめない」中で、“こころの復興”ということが真剣に議論される時期に入った。と思う。
こころの復興とは何か、その復興支援とは何か。それは「知る」ということの一語に尽きるともいえる。
原発のことは知ろうとする。知る権利を言う。しかし、そこで収束のために働いている人達のことは、特に知ろうともしない。もちろん”権利“も行使しない。
伊豆大島の自然災害、その犠牲者。それはもう知るということの範疇からはずされたような。フィリピンの水害事故のことも知るということの外に置かれているような。
多くの命が奪われているどこかの国のこともその枠外に置かれているような・・・。
「知るということは、それ自体が目的では無く、行動するための道具である」
ピータードラッカーが言っている言葉である。
知った以上、それを次の何かに結び付けねば意味が無い。
前にも書いた。シンボルスカの詩。
「知っていた人達は、少ししか知らない人たちに場所を譲らなければならない」。
この一行をどう受け止めるかだ。
そして・・・。たしか京都の竜安寺という古刹だったか。その蹲踞(つくばい)に刻まれた言葉。「吾是足知」の4文字。
我、ただ足るを知る。いろんな解釈があろう。足るを知るという意味を知った人は、「3・11」で、そんな思いに捉われた人は、何が足りていて、何が足りないのか。あまねく求めすぎていたことを知り、考えてみれば、原発が作る電気についても考えるはずだし、足りるため、足らすための努力、変化に行動を移すはずだとも思っているのだが。
声高に「権利」だけが叫ばれていると、つい何か言いたくなるというおかしな性分にて。
この稿、特定秘密保護法の動きとは無関係と思ってください。埒外です。
数回前の塾。最後の締めに立った塾生がこういった。
「知らないということは罪だ」と学びました。と。
2013年11月28日木曜日
“チェルノブイリ”異聞
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