どうやら政府は「帰還困難区域」を、まさに「住めない区域」とするようだ。
「どうやら」と書いたのは、その方針は決めているにも関わらず、時には石破に言わせて“観測気球”を上げ、経済産業大臣に言わせて“住民”の反応を探る。
住民理解、住民合意という不可解な言葉が横行している。それは政治の場だけでなく、マスコミや学者の間でも。
何を書いても最後に「住民の理解が必要」と”逃げ“を打つ。住民合意とか住民理解とか。地元の理解とか。それがあり得ないことだと知っていながら。知っていないでそんな言葉を常套句のように使っているなら卑怯だ。無知だ。
それはともかく、帰還が出来なくなる土地、そこの住民。「土地を奪われた民」と言ってもいいだろう。移住を支援するというが、どんな支援になるのかこころもとない。
安倍は発言しない。いつもそうだ。自分に都合のいいことは前面に出てぶち上げ、誇示する。
不都合になることは“部下”に言わせる。
きのうのクスリのネット販売解禁問題の決定だってそうだ。以前の国会答弁が食言にも成りかねないから。
放射能汚染がゆえに土地を奪われる。そう、奪われたという言葉が一番的を射ている。
例えばパレスチナ問題。その根源は土地を奪われた人たちの奪還運動、闘争なのだ。延々と続く争いの根源。
中国、新疆ウイグル地区の住民の”テロ“。それも、侵略され、そこには住んではいるものの、中国領土とされた人々の格差をめぐる闘争なのだ。
ソビエト連邦の崩壊、それも少数民族の、ソ連に土地を奪われた人たちの暴動に端を発したもの。それが”国“を崩壊させたということ。
大方の戦争なるものの発端は領土問題。古くからもそう。領土拡大を人は求めた。奪われた側はいつかは反撃に出る。
今、日本と言う国も領土にこだわる。竹島、尖閣、そして未解決の北方領土。
そしてTPPに絡んで、農政の転換、減反。農民は農地を放棄せざるを得なくもなる。
NHKの被災地からの声。福島市の大波地区の農家。コメを作る。それは生計の手段だけではない。土に触れてていること、コメを作ること、それが生甲斐なのだ。
田んぼは1年耕作放棄すれば、“復活”は至難の業。田んぼは毎年、季節が来ると、自然の摂理に従って耕さなければならないのだ。
それが線量検査で出荷停止になろうとも、土に生きる人たちにとっては、耕すことが“必然”なのだ。減反もある意味「土地を奪う」こととも言える。
原発事故で土地を奪われることになる人達。どこかに自らの“国”を作れるのか。「双葉自治区」なんていうのが誕生するのか。
とにかく言葉を発しない県知事。県の役人。国によって土地を奪われる人たちは、どこに寄るすべを見出せるのか。県は「機能不全」だ。
だから「自治区」とも言いたくなる。
永久に帰れない土地。それは古くて新しい問題。それが発生することは一昨年の時点でわかっていたこと。政治音痴の民主党政権が、何を恐れたのか、想像力の欠如による大失政。安倍内閣だけを責めるのは酷かもしれない。
しかし、「土地を奪われる」という事が、将来、何をもたらすのか。
天下国家を論じる人はまことにおかしなことを言う。被災地にには住民理解とやらを押し付ける。事故収拾に国費、税金をつかうことは「国民的理解が得られない」と言う。
理解を得る「国民」とは誰を指すのか。
2020年を控え、東京では地上げ屋が蠢動しはじめているかもしれない。
いや、移住先ともくされる県内でも、すでに地上げの動きが始まっているかもしれない。国費で移住を進める。またもや「国民的理解が得られるのだか」。そんな論調がまかり通るのかもしれない・・・。
2013年11月7日木曜日
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