2013年11月8日金曜日

「秘密についての秘密」

郡山の嫌な季節が巡ってきた。木枯らしだ。安達太良下しか、磐梯おろしか。郡山は風の街。

物言えば唇寒し秋の風。そんな句があったな。芭蕉だったか。芭蕉の句の意味とは多少違うが、ものを言えば、口は災いの元になる可能性だってある。
下世話なたとえだが。

特定秘密保護法案なるもののことだ。
結論を言う。受け入れられない。廃案にすべきだ。

一番の問題は「秘密」なるものの定義が明らかでないこと、その特定は一介の大臣にゆだねられるということ。大臣、閣僚なんていうものはそんなにたいしたもんだろうか。違うね。任命権を持つ総理大臣の顔色を伺う金魚のウンコみたいなものじゃないか。

国家に機密が存在する。当たり前だ。当然だ。外交は秘密裏に行われないと成果を上げることは出来ない。なんでも公開なんてありえない。
防衛だってそうだ。経済問題を巡る外交交渉だってそうだ。そんなことは百も承知だ。

ある時代から、なんでもかんでも「密室協議」なるものを否定する動きが出てきた。マスコミだけが言ったのではない。国会議員だって言った。
なんでも「公開すべき」だと言った。権力を側は、いや当事者は都合のいいとこだけ公開する。
民党政権時の事業仕訳なるもの。それがその典型。

3・11後、原発事故後、東電をつるし上げる場だけは公開する。マスコミが見ている、カメラが回っている中で、本音は言えない。

しかし、今回の特定秘密保護法案。それらのケースとは異なっている。何が秘密にがいとうするのかが秘密だということ。
恣意的に秘密が指定されるということ。そこが一番の問題。

安倍晋三も、その他の閣僚もご存知ないだろうが、昔、三ツ矢研究問題という事案があった。防衛庁が密かに研究し、図上演習をしていた仮想敵国を作っての軍事作戦。

それを国会の場で、社会党の岡田晴夫がすっぱ抜き、その秘密文書を入手し、佐藤政権を追及し、国会は大混乱に陥った。
時の防衛庁長官は小泉純一郎の父。苦境にあった。

この場合、資料を漏らした防衛庁の官僚は処罰の対象になる。今度の法案でも。いや、現在ある国家公務員の服務規程違反になる。
問題視した国会議員はどうなる。どうなった。爆弾男として名を馳せていただけ。

秘密を洩らした公務員などは法によって罰せられるという。それをそそのかした者も処罰の対象。そそのかし。それは、ネタをとろうとするマスコミのことだ。

報道の自由との兼ね合いで、取材の自由との兼ね合いで、そこを追及する。安倍は答える。「通常の取材行為は対象にならないと」。通常の取材とはなにか。
答えはない。あいまいなまま。

沖縄返還協定をめぐる「西山事件」を思い出す。女性事務官と親密になり、そこから資料をもらった。これは明らかに通常の範囲を超えているということになるのだろう。

取材行為の是非、良し悪しは政府が決めるものではない。

議員秘書だって、特別職の国家公務員だ。秘書が洩らしたらどうなる。その議員は。

国会議員さん、よく考えなさいよ。あなた方にも影響してくるような法案なのだぜ。

罪科は司法の適正な判断に委ねると安倍は言う。

日本は三権分立の国だとされている。マスコミは第4権力だと言われる。いいじゃないか権力だって。三権を監視する権力だって。
ただ、問題なのはこの4つの権力を握っている人達の「資質」の問題。

この特定秘密保護法案をめぐって世は「疑心暗鬼」に陥っている。秘密保護を目的に、あらゆる監視の目が張り巡らされるのではないかと。
社会の不安を助長しているようにも映る。

原発の警備は特定秘密の入るという。
かつて総理大臣の警備は「見えない警備」だった。ある時から「見える警備」に替えた。SPという警護官が皆赤い色のネクタイを締め、周りを囲む。その方が抑止効果があると判断したから。

原発の警備だって時には見えるようにした方がいい場合だってある。その強固さを見せるために。

野党なるものの体たらくはどうだ。民主党の枝野は情報公開法で対抗すると演壇に立っていた。そんなこと今更言えた義理かい。

原発事故後、SPEEDI、スピーディーの存在を伏せ、隠し、秘密にしていたのは菅政権。公開していれば「福島の悲劇」は別の展開をたどっていたはず。
この種のことは、たぶん、今後もあり得るだろう。

だからね、コントロールされてないで、マスコミに名を連ねる人たちは、会社は、こぞって「反対」「廃案」を堂々と打ち出すべきなんだ。

なんか、この国は本当に「危険な国」になっていきそうな気がして・・・。
この話、書き出せばキリが無い。またにする。

唇寒しが悪寒に変わってきているようなので。

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