大阪のホテルで発覚した「メニュー偽装」、「食の偽装」。出るは出るは。その他のホテルも高級料亭も、挙句有名デパートも。
さも有りなん。いつの頃からか、この国は“偽装国家”になったんだから。
10年も前か。耐震偽装があった。一級建築士が逮捕され、一時は大騒ぎ。でも、それだって今も行われているのかもしれない。
あの時、友人のジャズピアニストが上手いことを言った。
「耐震偽装の姉歯さん、頭部偽装も見えてます」。
外見の偽装は心の偽装につながる。外見を飾るといういうことは、心も虚飾で満たすことになる。
一昨年、原発事故後、前任者に替わって毎日会見していた、保安院のあの男。ばればれの頭部偽装。しゃべっていることも偽装だらけ。挙句、人生も偽装していたようだ。
彼のいう事は一言も信用出来なかった。
今回の偽装事件、どこまで引っ張られるのか。社長が辞めたとか、法改正がどうだとか、当面、尾を引くのだろう。
世間の目は、偽装した「食の提供者」にだけ向けられる。そこを利用した「消費者」なる人たちは皆“被害者”として扱われる。
でもね、高級ホテル、高級デパート。高級、高級。日本人の有名好みの体質がうまく利用されたんじゃないかな。
ブランド志向とでもいうのか。
高級なものは美味い。高級なものは安心。客の方だって自らが抱いている思い込みの中で“自爆”しているんだ。
まさか一流ホテルで、まさか一流のデパートが・・・。
「まさか」という思いこみ。「かさか」という原発事故があったにも関わらず。
原発の安全神話は崩れたとかなんとか言いながら、食の安全神話に酔っていたのではないかとも。
ダライラマがこんなことを言っている。
「私たちの住む家は大きくなったが、家族は小さくなった。知識は向上したが、判断能力は衰えた。利益は大幅に増えたが、その人間関係は少しも深くない。今の時代、窓の外側には多くがあるが、部屋の内側には何も無い」。
いつの頃からか「高級志向」がいいことだとされ、「食の安全、安心神話」にひたった。
東京や大阪や京都、都会で提供される食べ物、高級なもの、それらは、店構えの立派さと相まって、すべて安心、安全なものだと信じていた。自分の味覚や判断力は度外視して。
そして“福島”のものは、なんでも汚染されている、危険な食物だと思い込んだ。福島に人は住んではいけないと思いこまされた。
福島のコメを産地偽装しただのとはやし立てる。
なんか笑える、嗤える。
どうぞ、高いカネを出して、あやしげなものを食べて、心を満足させてくださいよ。
「ブランド信仰」を深めてくださいよ。
何かあると“生産者”を悪しざまに言う。消費者は”正義“の仮面に隠れる。
生産者体消費者。そのはざまにあるものは。“福島”から学んだはずだと思ってのに。
相変わらず消費者は被害者であり、生産者は加害者だという構図。
決して、「偽装」した側を擁護しているわけではない。まわりまわって“福島”にも影響してくる問題かもしれないから。
無条件にブランド、高級を信頼するという、“思考停止”が、この件にとどまらず、この国に蔓延している風潮だと指摘したかったから。
昨夜もすすけたような居酒屋で、福島県産の野菜を食べ、郡山でとれたイモで作った焼酎を飲み、自家製の漬物を食った。果物で締めた。
美味かった。
2013年11月6日水曜日
“チェルノブイリ”異聞
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