きのう書いた男子フィギアスケート。ショートプルグラムでは、まだ“哲学青年”は「哲学の道」を歩いている途中らしい。
哲学は思索。思索に結論は必ずしもついて回るものではないし。
羽生結弦くん、圧巻の演技。彼を支えているのは東北。被災した東北なのかもしれない。彼自身も“被災者”。現地を見た。知った。それが彼に力を与えているのかもしれない。
彼は常に口にする。「東北の方々の力になりたい」と。見せてくれ。「東北の底力」を。
高橋大輔。彼にまつわる話を聞いた。彼が練習場として使っていた、大阪市にあるスケートリンクが閉鎖の危機にあった。耐震改修費約3億円の半分を施設側が負担することが存続の条件として大阪府があげられていた。
彼は募金活動に動いた。チャリティー大会を開催した。でも、資金は集まらない。彼の活動を知った、「スケートフアンでない」人が、彼と会ってじっくり話を聞き、匿名で1億31千万円を振り込んだ。
“未来を担う子供たちの夢や希望を無くさぬように”との添え書きを付けて。
存続は決まった。そこで未来を担う子供たちはスケートの練習に熱中している。
ネットではメダルを取れなかった選手に対して、早くも“誹謗、中傷”が渦を巻いているらしい。あげく「税金泥棒」だとか。
税金泥棒という匿名の人達は、いったいいくらの税金を払っているのか。
日本の選手強化費は諸外国に比べて極端に少ない。その中で国を挙げてメダル、メダルを連呼する。選手にその責を負わせようとする。
いわゆる“ヘイトスピーチ”なるものと同次元。
この国は、まだ、スポーツ選手を育てる環境にないのだ。精神論や根性論をそこに持ち込んで。
戦時中の「空気」になぞらえる気はないが・・・。
隠れた「いい話」も聞いた。
女子のノルディックスキー。ロシアの選手の板が折れた。でも、転びながらもその選手は完走を目指した。
突然、スキー板を持ってコースに走って来た人がいる。なんとカナダの選手団のコーチだ。板を履き替えロシアの選手はゴールを迎えた。
かつて同じような事が、ストックが折れると言うアクシデントにカナダの選手が見舞われたことがある。その時に、カナダの選手に代わりのストックを渡したのはノルウエーの選手団の人だった。そのせいかどうかはともかく、ノルウエーは3位につけていたが4位に終わった。
カナダはそのことを忘れていなかった。その話は国中に伝えられていた。子供たちにも教えられていた。
そんな逸話だ。
この話を聞いて、またも、エルトゥールル号事件の事を思い出す。明治の時代、トルコの軍艦エルトゥールル号が和歌山沖で座礁した。折からの台風で。多くの乗組員が死んだが、90人ほどが和歌山県の串本の海岸に流れ着いた。
それを知ったその地の住民は、自らも台風の被災者であるのも関わらず、着るものと、なけなしの食料を持ちより、乗組員を救助した。明治天皇からも、その人達を無事トルコに送り帰すようにとの“勅命”が出された。
トルコではこのことは教科書に載せられており、国民誰もが知っている。
後年、イラン・イラク戦争時、バグダット空港には250人余りの日本人が脱出を求めて集まっていた。フセインはあらゆる航空機を間もなく爆破すると言っていたから。
日本の自衛隊機は来られない。民間航空機も来ない。絶望の中、トルコ航空機が到着した。そこにいたトルコ人には陸路で逃げろといい、日本人全員を成田に送り届けた。
トルコ大使は一言言った。「あの時の恩返しです」と。
その事は日本ではあまり伝えられていない。もちろん教科書にも。武士道の国でありながら。
東京オリンピックの招致最終決定日。トルコにいた安倍は、日本国の「最高指導者」として、エルドアン首相に、その時のお礼の一言も言わなかった。まして、「イスタンブールは治安が悪い」と言っていた。
2度目の訪問の際には触れていたみたいだが・・・・。
アスリートのちょっとした行動や思いやりが国際関係にも大きな影響をもたらすのかもしれない・・・。
2014年2月14日金曜日
“チェルノブイリ”異聞
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