代替案を持ってこい、日本の安全保障をどう考えているのか、こういった話がされること自体が日本の政治の堕落だ。
翁長知事はそう官房長官に言ったという。
日本にある米軍基地や施設の74%は沖縄にある。
日米安保条約の基づく、それに“依存”しきっていた日本。
「日米安保があるからアメリカは日本を守ってくれる」。戦後、“信じられていた神話”の一つだ。
米軍がいるから日本は防衛費を縮小出来、その分、経済成長に予算を振り向けられた。
朝鮮戦争の特需やベトナム戦争の特需もあっただろう。米軍基地が日本にあることによって、沖縄沖縄が自ら基地を提供したことはない。すべて強制接収された。
にその多くがあることによって、この国は成長することが出来た。
沖縄の“犠牲”によってこの国の経済は成り立っていたと言ってもいいのだろう。
しかし、多くの日本人は、沖縄に対して謝意を持つことが無かった。
原発事故後、福島県の人は6百人ほどが沖縄に避難した。福島からだけではない、東京やその近郊からもだ。
その人たちの中には「被害者」としての”甘え“があった。ある程度までは沖縄はその要求や振る舞いに手を差し伸べていた。
その辺の事情を、沖縄にいる郡山出身の仲村ヨネさんから災後聞かされていた。
沖縄に避難した人は、それくらい「沖縄を見たか」ということだ。「沖縄を知ったか」ということだ。
避難者として環境も含め、辛い思いをした人もいよう。
沖縄に暮らしていて、故郷の様子を知るにつけ、基地を押し付けられた沖縄と、原発を押し付けられた福島とをどう位置付けていたのだろうか。
福島に原発が出来、それが全国にも広がり、一時は電力の30%が原発で賄われていた。
原発が作り出すエネルギーとしての電力は、日本の経済成長を大きく支えた。
そして結果は・・・。
堕落した政治の故にか、福島にも沖縄にも“不幸”がある。不公平がある。
沖縄の基地に、いつしか多くの人が関心を持たなくなったように、福島の事故に対しても多くの人が関心を持たなくなった。
基地も原発事故も「それがあった」という事実は知っていたものの、それをめぐる様々な事象には、どこか「他人事」として眺めるようになった。
翁長も安保そのものについてははっきり言及していない。要は「押し付け」られた基地への反発なのだ。
いまさらそれを持ち出すつもりはないが、福島原発の電気は、長い送電線を、田園風景とはおよそ不似合いな日本の原風景を下に見下ろしながら、首都圏に送られていたということ。
それを誰しもが、多くの人が知らなかったということ。
そして事故を起こして、多くの放射性物質が飛び散り、大地が汚染され、その尻拭いもまた福島に封じ込まれるという事。
最終処分場の“期限”は30年後。沖縄の基地の30年後は・・・。
政治の堕落。それを象徴するのが政治家の言語だ。
菅官房長官は、「粛々と」と言っていたのを、翁長に“上から目線だ”と抗議されると、きょうは、もうその言葉を使わないと言った。
我が軍といった総理大臣も、その言葉は使わないと言った。それは「過ち」を認めたということでは全く無く、その場しのぎだということ。
政権だけではない。政治の場では、いまや、あまりにも日本語が軽い。日本語を愚弄してさえいる。発した言葉は元には戻せないのだ。
それを「綸言汗の如し」という。
今の政治家には、論語の素養とてないのだろう。政治家としてあるべき姿、人間としてあるべき姿を、彼らに教える人も機関もない。
諫言する人を傍には重用しない。
政治家の素行含めて、「政治の堕落」という言葉にはもろもろ頷けるものありと。
2015年4月6日月曜日
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