2012年6月7日木曜日

「原発」と詩人と

手帳を繰っていると、去年の塾で紹介した「詩」に再び目が行った。
原町に住む,住んでいた老詩人、若松丈太郎の詩。彼の「神隠しされた街」という作品を紹介していた。

過去、訪れたチェルノブイリをよんだ詩。
  

こちら側とあちら側というように  
私たちが地図のうえにひいた境界は  
私たちのこころにもつながっていて  
私たちを差別する  私たちを難民にする  私たちを狙撃する
牛乳缶を積んだ小型トラックが  ウクライナからベラルーシへと
国境を越 えていった  こともなげに  
空中の放射性物質も  風にのって  幻蝶のように

そして、3・11後に書かれた詩。
  
半径三〇kmゾーンといえば  
東京電力福島原子力発電所を中心に据え ると  
双葉町 大熊町 富岡町  楢葉町 浪江町 広野町  川内村 
都路村 葛尾村  小高町 いわき市北部  
そして私の住む原町市がふくまれる  
こちらもあわせて約十五万人  私たちが消えるべきはどこか  
私たちはどこに姿を消せばいいのか
人の声のしない都市  人の歩いていない都市 
四万五千の人びとがかくれんぼしている都市  
鬼の私は捜しまわる  幼稚園のホールに投げ捨てられた玩具  
台所のこんろにかけられたシチュー鍋  
オフィスの机上にひろげたままの書類  
ついさっきまで人がいた気配はどにもあるのに  
日がもう暮れる  鬼の私はとほうにくれる  
友だちがみんな神隠しにあってしまって  私は広場にひとり立ちつくす


現実、今の原町は帰還が進められているという。でも、帰る人は少ないとも。
村を愛した飯舘でさえ、帰らないという人が増えている。

神隠しにあった街。その街が日本にも存在したということ。

「神隠しの町」は「仮の町」へと変わるのだという。

富岡町に住んでいた84歳の佐藤シゲ子さんも詩作をつづけているという。
「情景を、素直に書いて感情を吐き出せば、心がいくらか休まるんです」と。
その一編。

泥棒みたいな服を着て
泥棒みたいな袋を持って
泥棒みたいにしのびよる
あれも、これも、と
手を出して触れてみる
一時帰宅は永久の別れか

佐藤さんも「仮の町」に行くのだろうか。

我が家の町内会の新しいメンバー。借り上げ住宅に暮らす富岡の4世帯。
訪ねれと一軒の家に皆が集まり談笑中。お茶の時間。漬物をつまみながら。
そのきゅうりの漬物を御馳走になり、さもない世間話を。

「郡山に来てよかったよ」。その人たちは言ってくれるのだが・・・。

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