「風来坊だよ、いつまでも」。その言葉を聞いた時、ボクの心は震え、涙は最高潮に達していた。まさに“震度7”のような感情。
埼玉県の騎西高校に校舎跡に避難している双葉町の住民。1年F組の教室には寝たきりのような老人や、その家族、多くの人が同室で暮らしている。その中の83歳の婦人がぽつんと語ったこの言葉。
双葉町では「仮の町」へ向けて様々な動きがある。結論は出ていない。多くの人が、埼玉だけでなく、県内各地に避難している人はその行方を注視している。
1年F組の人達は寄り添い、助け合いながら暮らしている。つとめて明るくふるまおうとしているようだ。風来坊だよ、いつまでも。その老婆も半ばあきらめの気持ちを薄笑いを浮かべるように吐き出した。
昨日の夜。7時のニュースから始まってずっとNHKを見ていた。「えん旅」という番組では、歌手の、いるかが福島市を訪れ、浪江から避難してきている人たちと行を供にし、一緒に歌を歌った。
東北Zという番組では、未だ時がとまったままのような石巻の長面浦の模様をドクメントし、移転で揺れる住民たちの様子や不明者の捜索の模様を伝えていた。
福島のローカルニュースでは、松川浦のタコや貝の試験的漁獲の模様を伝えていた。市場に出たら、ボクは絶対に買う。
9時からのニュース番組。なぜか空虚なニュースにしかうつらなかった。その内容すべてが。
そして10時からの震災ドキュメント。「ふるさとは奪われた。双葉町に選択」。
そして、11時半からの仕事ハッケン伝。東北の復興に取り組む若い人達の熱い討議。
NHK,やるもんだな。率直な感想。
合間に開いたネット。ツイッターは官邸前の大飯原発再稼働反対デモのことであふれている。ツイッターで呼びかけられた一般大衆の抗議行動。
本人かどうかは定かでないが、あの山本太郎やキノシタコウタもさかんに書き込んでいる。
なぜ、こんな大規模のデモをメディアは報道しないのだ。NHKはなぜやらない。中継しろと叫んでいる。
勤め帰りで駆けつけたサラリーマンやOL,若い女性達・・・。デモに呼びかけによって参加した人たちの意志を歓迎する。でも、日頃、既存メディアをマスゴミと称し、罵詈雑言を浴びせていた人達が、なぜ、それに“頼る”かのようなことを言うのか。
自分たちの行動を取り上げて欲しいということか。そうなのだろう。
騎西高校1年F組の“教室”は、戦後、ボクも一時住んでいた復興長屋の光景とウリ二つだった。
官邸前のデモ。安保闘争時を思い出させてくれる。放水車で水をかけられて前身ぬれ鼠になって。機動隊の警棒で容赦なく殴られて。傷だらけだった学生のボク。
デモには一人で行って、一人で帰ってきた。連日のように・・・。
今日知った。報道ステーションではこのデモの模様をレポートで、インタビューを加えて伝えていたことを。
そして、参加者人数。主催者発表4万5千人。警察発表1万人と言う“数字”の“怪”も。
どっか安全なデモのような光景。安保、それはいつも死を覚悟していた記憶。
NHKの番組。ナレーションはどこか定型文。冷める部分も多々あるが、良いものを作ってくれていると思う。
風来坊よ、いつまでも。ずっとボクの心の中に刻まれる言葉だと。
2012年6月23日土曜日
“チェルノブイリ”異聞
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