辛かったり、怒っていたり、悩んでいたり・・・。そんな感情を吐き出すことによっていくらかは慰められると言う。心がいくらかは休まるという。
その吐き出し方、表現にはいろいろな方法がある。富岡町からいわき市の仮設住宅で暮らしている84歳の婦人は詩を書き続けているという。
泥棒みたいな服を着て
泥棒みたいな袋を持って
泥棒みたいに忍びよる
なつかしさにおののきて
あれも、これも、と
手を出して
触れてみる
一時帰宅は永久の別れか
この詩、以前にも引用させていただいたかもしれない。相馬地区では、それこそ自分の田んぼに“泥棒”のような格好をして入り、「試験的」な田植えをしている農家・・・。自分の家、自分の田んぼに入る姿を泥棒と見立てる悲しさ。
短歌を詠み続けている人もいる。これも引用させていただいたか。
<ふるさとは無音無人の町になり 地の果ての如く遠くなりたり>
31文字に凝縮された言葉からその悲しみ怒りの感情の大きさが伝わる。万言を用いても及ばないような。
最近はあまり「接触」しないようにしているツイッター。そこに「吐き出されている」言辞の数々。
不愉快なこと極まりなし。
福島県にたいする全くいわれなき、根拠なき誹謗中傷。いや、“悪意”さえ感じられる言葉の数々。
彼らは、彼女らは、ネット上に言葉を吐きだすことによって何を得ようとしているのか。昔、謂われた“愉快犯”のような。
ネット上には「福島のお母さん」達の放射能に対する不安の声が、いまだひきもきらない。それをRTしまくる人もいて。確かに「不安」を抱くのは当然だ。その不安感をネットで吐き出すことによって、いくらかこころの安寧が保たれるのかもしれない。それに“同情”のレスポンスがあればなおさらのこと。
中には、それらに真面目に反応して、冷静な判断を求める福島の人もいるが。福島に身を置いたことのある新聞記者もいるが。
総じて言えば、ツイッターは誰が訳したかしらないが、“つぶやき”の場では無くなった。感情のぶつけあい、吐き出しの場とも。
ネット上に感情を吐き出すことによって、かえって嫌な感情の虜になるという罠に陥っている人もいる・・・。
反原発。再稼働抗議行動。それに参加している人のすべてを非としない。しかし、感情の吐露というには余りにも不様なその様子。写真で見たから本物と思うけど。野田はじめ関係閣僚の“遺影”、葬式ごっこ。
一つの表現方法だと思ってやっているのだろうが、真面目に参加している人たちは眉をひそめるはず。
大槌町の子供たちが歌っていた。ひょっこりひょうたん島を。
「苦しいこともあるだろさ、悲しいこともあるだろさ、だけどぼくらはくじけない。泣くのはいやだ笑っちゃおう。進めひょっこりひょうたん島~~~」。
歌に感情を託している。
書けば、話せば、歌えば、感情は癒されるかもしれないということ・・・。
2012年6月17日日曜日
“チェルノブイリ”異聞
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