昔、佐藤栄作が内閣総理大臣だった時、官房長官をつとめていた人に橋本登美三郎という人がいた。富ヶ谷に大きな家を構えていた。
富さんという愛称で呼ばれていた。茨城県選出の議員。もともとは朝日新聞記者。南京支局長の経歴もある。
富さんの後援会は「西湖会」と言った。富さんは朝日新聞出身ながら、自民党の郵政族として、NHKに「貢献」し、NHKに大きな影響量を持っていた。
選挙区の後援者の子弟はじめ、NHKへの就職希望者にはかなりの便宜を図っていた。
富さんの「お声がかり」で入局した人たちは、局内に「NHK西湖会」というのを作っていた。局内では“派閥”を形成し、少なくとも報道にはそれなりの影響を与えていたように思う。だから、三流民放記者の中では「それなりのNHK観」が出来ていた。
後援会長の息子に海老沢勝二という人がいた。富さんの口聞きでNHKに入り、政治部に配属され、官房長官番を務めていた。
豪放磊落。茨城弁丸出しの好感が持てる男だった。出世街道をひたはしていたが、NHKの会長が島桂次だった時、なぜか、関連会社のNHKエンタープライズに出され、島が失脚すると、異例にことに、本体に復帰、会長をつとめた。
たしか相撲協会の横綱審議委員長もやっていた。
田中角栄も就職担当の秘書を置き、民放にずいぶん口聞きをし、就職した人たちは、その会社の中に「清心会」という(たしか、この字だと記憶しているが)集まりを作っていた。
何を書きたいのかというと、政治家とNHKの関係だ。知っている昔話としての。
NHKの福島放送局長を務めた人に、伊東律子さんという人がいた。酒は飲むし、フットワークは軽く、NHKの評価を高からしめた人。
彼女は、そう海老沢会長時代か。東京に戻り、番組制作局長をやっていた。その後、NHKでの最初の理事になった人。
時々、メールや電話でやり取りしていた。
彼女が制作局長時、NHKは大揺れに揺れた。ETV特集で“従軍慰安婦”の問題を取り上げた時。
当事者ではないので詳細は知らないが、番組は、自民党の知るところとなり、制作過程で“検閲”があり、中川昭一を筆頭に、NHKに強力な圧力がかかり、その一人に、たしか当時幹事長代理だったと思う。安倍晋三も内容に抗議していた。それは“偏向報道”であるとして。
それらを“政治介入”というかどうかはともかく。
この件で、律子さんはほとんど語らなかった。言えない何かがあったのか。言う事の無駄さを覚えていたのか。
電話をしても「それは言えないは」と返されていた記憶。
NHKの予算は、国会の審議事項である。今は総務委員会というのか、かつては逓信員会といったが、そこで審議される。NHKの会長が答弁する。
NHKの永田町にいる政治部記者は、その国会対策に専念し、いつもの「マスコミ」としての振る舞いは無く、ひたすら「局」のために頭を下げていた。
だからどうだ、と言うわけでは無い。
NHKの経営委員の発言が問題視され、籾井会長の発言が物議を醸し、理事が“離反”し・・・。
連日のこの無様さ、恐ろしさを見聞きするにつけ、ふと思い出した昔話。
人柄は顔に出るという。籾井会長の顔。傲岸不遜を絵に描いたような。顔だけではない仕草も。答弁席で目をつぶり、首をぐるぐる回している仕草。その深層心理は「お前らのいう事は聞きたくもない」という心模様に現れ。どこかロキード事件の時の海部八郎を思い出させるような。
商社マンてすごいんだな。百戦錬磨なんだなって。
NHKの受信料は払い続けている。民放の社員であっても。それは「テレビを見る上での一つの義務」だとも思うから。払っているから批判も出来る。批判する権利の担保として払っているのかもしれない。
NHKは取材力もある。機材も凄い。カネはある。取材費だって。NHKは情報の宝庫だ。ニュースは時としてくだらない。でも、いい番組も作る。台風情報や地震情報はやはりNHKで見る。
NHK職員の思っていることや心理はわからない。彼らは“放送”は出し続ける。それをどう見るかは視聴者の「能力」。リテラシーの問題。
意に沿わないから不払いではなく、払った上で批判するのが賢明なのかも。
朝の連ドラや大河ドラマで”感動“していると言っていた人は多々いるのだから。でも、NHKとはこんなところなんだと思っておくのもいい・・・。
2014年2月28日金曜日
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