2014年8月6日水曜日

「絶対悪」としての核

69年前の広島が、きょうのように雨だったら・・・。雨の中の原爆記念日、追悼式典。
テレビから流れてくる鐘の音。黙とうをしながら、その鐘の音が耳朶にこびりつく。耳の中で大きく谺する。

郡山は快晴。まだ窓外からに風はいささか心地よい。あの69年前のこの日。焼けつくような暑さだったという広島。

69年の「時間差」を埋めたいと思っているのかどうか。テレビを介して広島に身を置く。

広島平和宣言で松井市長はこう言った。
「被爆69年の夏。灼けつく日差しは“あの日”に記憶の時を引き戻します。一発の原爆により焦土と化した広島では、幼子からお年寄りまで一日で何万と言う市民の命が絶たれ、その年のうちに14万人が亡くなりました」。

「“水をください”。瀕死の下級生の懇願にも、“重症者に水をやると死ぬぞ”と止められ、耳をふさぐ思いで水を飲ませてやらなかった。死ぬとわかっていれえば存分に飲ませたやったのにと悔やんでる当時中学生だった人もいます」。

「あまりにも凄絶な体験ゆえに過去を多く語らなかった人々が、年老いた今、少しずつ話し始めています」。

「子どもたちから温かい家族の愛情や未来の夢を奪い、人生を大きく歪めた“絶対悪”をこの世から無くすためには、脅し、脅され、殺し、殺され、憎しみの連鎖を生み出す武力ではなく、国籍や人種、宗教などの違いを超え、人と人との繋がりを大切に、未来志向の対話ができる世界を築かなければなりません」。

「唯一の被爆国である日本政府は、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増している今こそ、日本国憲法の崇高な平和主義のもとで、69年間戦争をしなかった事実を重く受け止める必要があります」。


皮肉にも、NHKのカメラは安倍首相の姿を捉える。無表情に見えた。

男女の中学生二人が「子ども代表」として原爆を語り継ぐことの必要性を訴え、たとえ、方法が違っていても、お互いの考え方が違っていても、一緒に平和を作りましょうと、バトンリレーに例えて、彼らの“覚悟”を語っていた。

挨拶の中で聞いた。しっかり聞いた。安倍首相は「非核三原則を堅持する」と言った。この場での発言は世界に対しての宣言であり発信なのだ。

広島にあるのは平和祈念公園だ。ドームがあるのは。挨拶の中でも「平和」という言葉がどれくらい使われたのだろう。
いや、きょうだけのことでは無い。

平和憲法、積極的平和主義、平和運動、平和、平和・・・。「平和」という言葉に戸惑う。
平和って何なのだと。

小学校の5年と6年の担任に梅田育子という先生がいた。当時、すでに50を越えていただろうか。
習字の宿題があった。「平和日本」と書いて出した。
教室に各自の“作品”が張り出された。
一つ一つ見て回っていた先生。
「瀬川君、なんでこの言葉を選んだのですか」と聞かれた。
「そうあって欲しいから」。そんなようなあやふやな答えをした。その頃、そんな言葉が口々に言われていたからかもしれない。

「そうよね、平和って大事よね。でもね、世の中が平和じゃないから平和って言葉があるの。本当の平和になったら、そんな言葉も無くなる。平和って言葉が無くなるような時代にしなくちゃね」。そんなことを先生は言っていた。

子供心に先生の言っていることがわかったような気がした。それ以来、「平和」という言葉を安易に使わなくなった。ある意味“封印”してきたような気がする。

だいぶ経ってから、このことが忘れられずに90歳になった先生に電話した。この事を話した。
「そんなこともあったよね・・・」とだけ答えが受話器の向こうから答えが返ってきた・・・。

戦争を知らない子ども達という歌があった。ベトナム戦争の真っただ中、反戦歌だとして。

戦争が終わって 僕等は生れた
戦争を知らずに 僕等は育った
おとなになって 歩き始める
平和の歌を くちずさみながら
僕等の名前を 覚えてほしい
戦争を知らない 子供たちさ

口ずさむ平和の歌ってなんだろう。反戦歌だというが、どこかに「日本には戦争がもう無い」という“安心感”のようなものがあったのではないか。戦争を知らないということを誇らしく思っているようにも聞こえた。

安倍も石破も、「戦争を知らない世代」だ。戦争を知っている人はだんだん減ってくる。もうまもなく誰もいなくなる。

戦争を知っている人、原爆を知っている人、最後の力を振り絞って、それを語り継がねばならない。二人の子供が言ったように「リレーのバトン」として。

松井市長は婉曲に原発事故の被災者に触れていた。放射線の影響に苦しみ続けるすべての人々にと。

今日の式典には原発事故で被災した福島県の中高生5人が参列していた。
「原爆と同じように、原発事故の記憶をつなぎ、風化させたくない」と思いを語っていた。広島の被爆経験者と話し合い、苦しみを“共有”していた。

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