三春にあった原発避難による動物シェルターが新規受け付けを止めたという。
一時は多くの避難動物が収容されていたところ。
今は犬6匹、猫10匹程度になったと。どこかに引き取り手があって出て行ったのだろう。
シェルター側では、今る子たちの引き取り手を探す活動に専念するという。
県内には、飯館にしても、その他の地にしても、原発事故によって行き場を失った犬や猫が沢山いる。居た。浪江では、今も牛を買い続けている人もいる。
何か、災害や事故があると一番の被害者は動物なのかもしれない。
相馬から引き取ってこられた、事務所の隣の「ヒロシ君」は元気だ。飼い主の実家がある二本松との間を行き来し、人気者だという。
災害弱者というと高齢者や子供がまず挙げられる。病人もだ。でも、動物も、見えない災害弱者なのだ。
核と人類は共存できない。動物と人類は長い間共存してきた。
最近、盲導犬の虐待が話題に供されている。刃物で傷付けられたり、ペンキを塗られたり。
ハーネスと付けている間は、彼らはお仕事中だ。守るうべき人を守るのが彼らの仕事だ。何をされても抵抗はしない。暴れないという。盲導犬は中型犬以上だ。
もし、ハーネスと装着していなかったら、彼らは多分、襲撃者を物凄い力で反撃したであろう。でも、それをしない・・・。
反撃しないことを知っていて、盲導犬を傷つける。“弱者”に刃を向ける。
そんな風潮を時代に反映させて考えてしまう。
広島の土砂崩れ現場。保健所で殺処分寸前だった犬が、“運よく”愛護団体の手に渡った。やがて彼は災害救助犬に育てあげられた。
現場に派遣され、一人の遺体を瓦礫の中から見つけた。愛之丞くんという。
警察犬や災害救助犬。広島の現場で多頭が活躍している。
人間は装備された服を着用し、頑丈な靴を履いている。
犬たちは素足だ。犬にとっての生命線とも言われる肉球を傷つけたのも多い。
体を傷付けた犬もいる。
でも、彼らは決して尻込みもしないし、その場を離れない。体中泥だらけになりながら「職務」に励んでいる。
石の上で束の間の休息、睡眠をとり、また「仕事」に向かっている。疲労困憊の体を引きずるようにしてでも。
捨て犬、捨て猫は後を絶たない。人間の都合で彼らは捨てられる。
捨てたくて手放したのではない。仮設や借り上げ住宅にはすまわせることがかなわず、シェルターに預けられたり、手放したのもある。
愛之丞君だって、人間の都合で、殺処分寸前にまでなったはずだ。死の恐怖を彼らは本能的に察知していたのだろう。
その犬が勝手な人間の為に身を粉にして働いている。
3年前、殺処分されるために車に乗せられていく牛や豚の光景を何回見たか。
彼らは皆、覚悟しながらも泣いていた。目に涙を浮かべていた。乗ることを拒否した子もいる。
人間と動物との関係。
彼らの方が「上」なのかもしれない。
先日、我が家の犬と話した。犬に話をしてやった。テレビに映る犬を見て飛びついていたから。
「君は体が小さいから救助犬にはなれないよな。せめてセラピードッグにでもなってみないか」と。
不思議そうな顔をしてこっちを見ていた。そしてごろんとして寝ていた・・・。
夕方。間もなく、散歩に出かかる犬たちが事務所の前を数頭通る時間だ。
最近知り合いになった「ムサシくん」に会えるかな・・・。
結論のある話ではない。犬は「凄い」という一語に尽きるだけの話。「犬は神様だ」という話に納得するということ。
盲導犬を傷つけた事件。警察の捜査の容疑は“器物損壊罪”だという。違う。犬は器物なんかでは絶対無い。
“チェルノブイリ”異聞
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