哀しいかな、いや、当然のことだけど、ボクは野田佳彦という人のことを知らない。知らないというのは会ったこともないという意味で。
彼については「報道」の上でしか知らない・・・。
だから、常連さんはお気づきだろうが、野田についてほとんど書いた事が無い。
正体不明だから・・・。
昨日の党首討論。面白かった。はじめて、党首による討論らしき討論を聞いた。
結論。野田の勝ち。安部の負け。討論という意味に於いて。
野田はまなじりを決して、真正面から切り結んだ。のらりくらりは無かった。野田の正面突破作戦に安倍はひるんだ。安部に迫る野田。即答できず、かわす安倍。論点逸らす安倍。連用制は難しいだとか。さすが元総理経験者なるゆえか。多言を弄して煙に巻いてきた経験が為せる業か。
悲鳴のようにも聞こえた。「約束ですね、約束ですね、いいんですね、いいんですね」の連呼。まさに自分のうろたえぶりを糊塗せんとばかりな。
そして、与党の党首が野党の党首に対して「覚悟」を迫る。これは見たことが無い。この場限りで言えば「名宰相」。
以上、テレビ中継を見ていての感想。表面上の討論。あの場面に至るまでには周到とまではいかなくても、シナリオは出来ていたはず。細かいセリフは書いてなかったが。
だから、「事前に16日解散という情報があった」と訳知り顔の人達はきのうになって語る。
シナリオを作る上での大まかな「企画趣旨」。いわゆる、その本質がまったく見えない「第三極」とやらに“主導権”を握らすのは阻止しようということでは無かったのか。それは小沢一郎も含めて。
解散・総選挙。歓迎する。烏合の衆は散ればいい。去年、何回も書いた。民主党解党のすすめを。
民主党を、3年目の民意として生まれた民主党をダメにしたのは誰か。「迷宰相」の野田だけではない。鳩山が、菅が。そして小沢が。彼らがダメにした民主党を解体させる使命にあった野田。その役割を果たしたことになる。
おそらく選挙結果は民主は大敗するはず。メディア自らが誘導した世論調査の
数字を見れば明らか。誘導して作り上げた“世論”をメディアは手放さない。
マスコミがどういう立場にたって選挙報道をするのか。それも見もの。
今の国会議員に「国民」を語って欲しく無い。都合のいい時だけ持ちだされる「国民」という言葉。
すでに、選挙で負けるのは、落選するのは嫌だとばかり、民主党を離党する「自己愛」にだけ富んだ議員は綺麗ごとを言って離党している。落城する城の住人になるのは嫌だと。主君と命運を共にするのが昔の「もののふ」の“覚悟”だった。共腹を切った。そんな心意気は全く無い奴ら。
野田とて純粋培養の民主本流かと問われれば疑問は湧く。日本新党、新進党、民主党と「渡り歩いて」きたのだから。
だが、野田は作ればいい。民主本流の政党を。鵜合の衆と言われない集団を。やがて花咲く時も来るさ。
小沢の私党も多分半減するだろう。今度の選挙が政界浄化の端緒となることを願う。
とはいうものの、選挙後も混乱は続くだろう。安定政権は望めないかもしれない。しかし、それは敢えて受ける“覚悟”が国民にも求められる。
ケチくさい話しのようだが、議員歳費の2割削減も実現しそうだ。定数も削減される見通しだ。いいことじゃないですか。
マスコミはこぞって「被災地の声」を取り上げる。取り上げる声は、たとえば「今、選挙してる場合じゃないでしょ。被災地の事はどうしてくれるんだ」という声。
すでにしてレイムダックに陥った政権。官僚は跋扈する。大臣を無視するだろう。だけどね、今のままの民主党政権が続いていて、被災地に何か「利」が予想出来るか。
国に何かを求めることがいかに無意味で徒労であったかを被災地の人達は実感している。求めずに、自分たちで探す。それによって被災地の人達は大きく成長できるはず。他人事を言っているように思われるかもしれないが、民百姓の方が知恵があるはず。
「なんくるないさ」。沖縄の方言は“真言」かもしれない。「政治ごっこ」にはかまっていられない。
党首討論を聞いていて、吉田茂の「ばかやろ~解散」を思い出した。当時は吉田は激しく謗られた。しかし、今は、戦後の名宰相だったとも言われている。
野田は政界の構図を変えたという意味で名宰相と歴史の過程では言われるかもしれない。かたや、「本当のバカ宰相、迷宰相」と言われるかもしれない。
その“評価”は今はわからない。わかる時をボクは見られるはずも無いと思う。
永田町だけが、なにかどことなく楽しそうな秋のような気もしてくるのだが。