「泣く子と地頭には勝てぬ」。よく言われる諺の類。泣く子のききわけの無いことを、鎌倉時代の地頭の横暴さにかけて言ったものであり、要は道理を持って争っても勝ち目のないことの例え。
翻って平成の世。泣く子とは「電気が無いと困る」という人たちの事か。地頭とは言わずと知れた政府、経産省か。
時代の寵児、橋下 徹くんもやっぱり大飯原発再稼働容認へ変身ときた。あれだけ強気に「反対」を叫んでいたのに。
メッキがはがれたってこととも思えるのです。
多分、この一事をして橋下人気は急落かとも。ブルータス、お前もか。
関西広域連合なるものも総崩れ。そうなんです、中央政府のお力は強いのです。
言いくるめられたというよりも脅しに屈した感あり。
「事実上の容認ですよ。この夏どうしても乗り切る必要があれば、暫定的な基準で暫定的な安全判断かもわからないが、もうそれは容認と」。
橋下のこの居直り、開き直りとも思える発言。
何が橋下をこうまで“変節”させたのか。
この夏、電気が足りなくなって大阪が停電となるかも知れないという恐怖。それに勝てなかったのでは。一時は「電力不足なんて関電の数字はあてにならない」まで言っていたのに。
「関電はわざと計画停電にまで持っていく。火力発電も事故を装ってわざと停める。関電は電力テロを仕掛けてくる」。橋下ブレーンの古賀君までがそう言ったんじゃビビるのは当然かも。
期間を区切っての再稼働なんて言っているが、もはやひかれものの小唄としか。
凄いですね。橋下も陥す、この電力パワー。そりゃ福島県が、当の昔にだまされていたのは当たり前かも。なにしろ県知事始め、多くの人が積極的に“誘致”したんだから。そうさせられたんだから。
かくて、粛々と、内容も、意味もわからない「責任」という言葉に全てを託して大飯原発は再稼働に向かいます。
関電管内は電力不足の心配ない、“安堵の夏”を迎え、送ることが出来ます。
今までと同じ生活が送れるのでしょう。節電はするでしょうが。
再稼働、電力不足。それに世の中の目をくぎ付けにして、福島原発問題から、いくらかでもマスコミの目をそらせる、国民の目をそらせる、忘れさせる・・・。そんな“心理戦”に負けたのです。
電気の無い夏。それを乗り越える知恵をさすがの橋下クンも出せなかったのでしょう。
「電力不足の夏」。税金上げる、高速道路は作る・・・。豊かになった日本はそれを“経験”してもよかったのでは。変わるべきだったのでは。
それが、せめてもの「ふくしま」への思いかと。数々の犠牲者への為にも。
かくて、大飯に続き、またぞろどこかの原発再稼働の動きが出てくるのも必定。
もう「ふくしま」はこの国にあってはならないことなのに・・・。
2012年6月1日金曜日
“チェルノブイリ”異聞
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