2013年5月27日月曜日

「三つのスフインクスの“謎”」

ギリシャ神話にあるスフィンクスの謎かけ。
「朝は4本足、昼は2本足、夜は3本足の生き物は」。

旅人にこの謎をかけ、答えられない人は殺して行ったという。ある日答えた人がいた。オイディプスだ。実の父を殺し、母親を妻にしてしまったという・・・。

答えは「人間」。

諸橋近代美術館について、また書く。サルバドール・ダリの作品を収集してある常設展示してあるモロキン(通称)。

特別展の岡本太郎展。歯車という作品は機械文明の象徴としての歯車が、長ネギを押しつぶしている。農耕民族と言われる日本人がいつしか西洋式の機械文明の虜になってしまったことの、その“対極”のメッセージ。
太陽の塔に込められた「文明の進化と調和」へのアンチテーゼ。

岡本太郎展の隣にダリの絵画が展示されている。

「ビキニの3つのスフインクス」。油絵。1947年の作品。

ビキニ環礁でのアメリカによる水爆実験に驚き、困惑し、怒りを感じたダリが描いた。

アインシュタインの脳とフロイトの脳。間に佇み、遠くから眺めているようなダリの脳。その脳はきのこ雲のモチーフだ。そして脳を支える三本の木。それは広島、長崎、ビキニの原爆。

ダリはある日、フロイトに尋ねたという。「この世から戦争は無くならないのか」と。フロイトは冷徹に答える。「それは不可能である」と。
アインシュタインは原爆製造の元を作った人ともいわれる。やがてアインシュタインは核廃絶運動に取り組む。

アインシュタインの核廃絶への思い、フロイトの人間観察、人間同士の争いを極端に嫌ったダリ。
核に対するダリの墳怒がこの絵に込められている。

キノコ雲のような形をした脳の中に、だまし絵のように、フロイトとアインシュタインが描かれている。

絵の中で、彼らは、ダリも加えた3人は会話を続けているのだろう。多くの疑問や懐疑をぶつけあっているのだろう。
科学とは、人間とは、文明とは・・・。

だからタイトルはスフインクスなのだと思う。オイディプスによって殺されたはずのスフインクスが、今も「謎」を投げかけている。

その謎を解こうともせず、核開発は進み、原子力発電所が出来、核爆発を起こし、それを収束させる手立ても持ち合わせていない。

3つのスフインクスの謎を誰が解くのか。かつての謎の答えが人間だったように、人間が解かなければならないはずなのに。

「芸術は爆発だ」と岡本太郎は言った。その爆発は原子力の爆発とは全く違う。

作品を残した、作品に登場する人物はもう誰もいない。

もし岡本太郎が生きていたら、ダリが生きていたら・・・。今の「フクシマ」に対してどんなメッセージを投げかけ、どんな作品を描いたのだろうか。

この国を、この世界を、救うことが出来るのは学者や政治家、科学技術ではないのだろう。
芸術であり、文化なのかもしれない。それに多くの人々が触発されることによって。

スフィンクスの謎、解けない謎・・・。

ダリはシュールリアリズムの作家だと言われる。シュールルイアリズムとは”不条理”をも言う。



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