2011年3月28日月曜日

この国の姿 その10

喜怒哀楽。人間が持つこの4つの感情が日本中を行き来しています。四苦八苦という人間の”業”の恐ろしさも。

入り乱れる情報。度重なる東電本店の頼りなさ。人々はより正確な情報が欲しいという。情報過疎。一つの不安。そして正確かどうかはともかく、それなりの情報に接すると、知ったことによって右往左往する。新たな不安を抱く。東電をめぐり、原発を巡り、錯綜する情報にいささか疲れてきました。

時として怒りやすくなってり、時として涙もろくなったり。感情のコントロールは難しい。

情報に踊らされる人達。水道水から汚染物質でパニック化した首都圏の水事情。浄水場からの水は安全と発表されているのに、相変わらず「念のため」が通用している曖昧さ。

その水パニックの最中、東京の世田谷区の人の書き込みだったか。
「赤ん坊を抱いて水を買いに行き、500mlのボトルを篭に入れてレジに並んでいたら、見知らぬ女性が近づいてきて、お水交換しませんかと言ってきた。彼女の手にしているのは2リットルのペットボトル。長い間並ばないと買えなかったもの。ありがとう。ありがとう。私も次はこの恩を誰かに譲る」。「いい話しですね」という亭主の返信に「子供がわかる年になったらこの話しをして忘れないようにさせます」と返ってきました。こういう話しに接するだけで泣けて泣けて仕方ないのです。

原発の現場にいる人の家族あてのメールにも泣けます。陣頭指揮をとって放水に向かった消防庁の隊長の話にも何回泣いたか。「現場を見ずして指揮をとるな」。

計画停電で灯りが消えた首都圏。若者が言ったという。明るい東京は楽しいけど灯りの消えた東京は優しい。
灯りの消えた町からは星がくっきり見えたーーーと

郡山の避難場。若い子供たちが手伝っています。高校生や中学生。野球場でもビッグパレットでも。「いまどきの若いやつらは」と言っていた大人は何もせずに政府と東電の悪口を言い、噂を撒き散らしてる。

買いだめに走るのは大人。買占め太りという”新語”も登場したとか。

福島県の農家は大変です。たぶん全滅に近いかも。コメをはじめ作付延期を指示した県。翌日はハウスものの野菜は安全だから出荷OK。消費者なる人達は細かい区別がつかない。出荷されても買わないでしょう。都知事一家が買うだけか。

国も県もみな付け焼刃。

自主避難という曖昧な措置で住民を惑わせる政府。牛は家族同然だと一人30キロ圏内に20キロ圏内に餌やりと、捨てるにきまっている乳搾りに戻る酪農家のお年寄り。餌を食む牛の目の優しさ・・・。

ビッグパレットには車で犬を連れて来た人もかなりいます。避難所には犬は入れない。零下になった車の中で子犬が夜を過ごしている・・・。二匹が寄り添うようにして。湯たんぽ代わりにお湯の入ったペットボトルを置いてきました。「ペットにはペットボトルですよ」と飼い主に冗談飛ばして笑わせて。
郡山はようやくガソリンが行きわたってきたような気配です。東京からの電話では、買い占めも含めやや落ち着いてきたとのこと。

テレビが映し出す前途を思うと何も考えられないと哀しくつぶやく人、慰問に訪れたサッカー選手とボールを蹴りながら嬉々とした声をあげる子供たち・・・。

あすはどんな世相になっているのか。

“チェルノブイリ”異聞

  ロシアがウクライナに侵攻し、またも多くの市民、日常が奪われて行く。 ウクライナという言葉、キエフという言葉、チェルノブイリ・・・。 そう、あの最大の原発事故を起こした地名の幾つか。 「チェルノブイリ原発事故」。1986年4月26日。 ウクライナの北部にあるその...