2011年11月9日水曜日

戻りたいけど戻らない

福島大学などを中心にした原発避難者の意識調査。
避難8地域の人たちがのうち4分の1の人が「故郷に戻らない」と答えているという。

この種の調査のたびに、戻らないという人の数が増えていく・・・。

34歳以下の若い世代が5割強だとか。

「除染が困難」「国の安全宣言レベルが信用できない」「事故収束に期待出来ない」などがその理由。

数字だけからは、「あきらめ」が広がっているように見える。

だけど「いつまでも待つ」と答えた人も多い。とはいうものの、生活設計は全く見通しが立たないまま。

避難疲れで追い込まれ、気持が萎えてしまっているのだろうか。

一時帰宅で、「現状」を目の当たりにした時、「こりゃダメだ」。そんな思いに駆られた人もいるだろう。

関係町村の長は「戻れるように努力する。住民をバラバラにしない」とコメントしているが、町村のレベルの問題ではない。

少なくとも、福島県が、その長である知事がはっきりしたメッセージを発していないことの影響が大きいのかと。

訪ねてきた政府関係者に「文句」を言っているだけではすまない。東電に怒ってばかりいても何も事は進まない。

県知事とは、たとえは悪いかもしれないが、一国一城の主。気持ちを萎えさせない、希望をもたせるようなメッセージを発することが出来ないのか。

それは現、前首相に対しても言えることだが。語るべき言葉を持たない城主を持ったことの不幸。

福島県の人口は減り続けている。推計198万9千人。震災前には202万4千人いた人口。3万5千人が減った勘定。
減り続けるばかりとは思わないが。

「戻りたいけど戻らない」「戻りたいけど戻れない」。その心中は「憤」の一字かとも。

復興ビジョンが語られず、希望が見いだせないなら・・・。他に安住の地があるとは容易に考えにくいのだが。

諦めるの語源は明らめる。未来が明らかにされない限り自分で自分の将来を明らかにする以外にないのか。

きのうは亭主主宰の塾。塾生に「被災後の探した言葉」を語ってもらった。
「今を生きる」「あるがままに生きる」という言葉を挙げた人もいた。

だけど塾生は直接的な避難者ではない。家族には避難させている奴もいるが。
彼らが、やがて「諦め」とか「萎える」という言葉を使わないことを祈るのみ。

“チェルノブイリ”異聞

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