2014年7月28日月曜日

政治とカネと原発と

今朝の朝日新聞。原発利権を追う。関電の裏面史。
「関電、歴代首相に年2千万円」という見出しの記事。歴代首相だけではない。
自民党の実力者や野党の幹部には年、200万円から700万円の「献金」。

わかった風に言えば「むべなるかな」ってとこか。あって当然、驚くにあたらいってとこか。

91歳になる関電の元副社長が、去年の12月から今月まで、23回、69時間の及ぶ取材に答えた内容。

墓場まで持っていく話を実名でなぜはなしたか。「福島」が起きたからだという。その事後対応を見てきてそう思ったという。

「原資はすべて電力料金だった。原発政策の推進や電力会社の発展がその目的だった」と。

電力会社の収入ってのは電気料金しかない。電力料金で儲けて、それを新たな投資に振り向ける“負の再生産”。

この論法は効くのだ。「我々の払っている電気代が政治家にわたっているのは」ということ。

福島の事故の後のさまざまな東電支援策、福島への補償など、「結局我々の税金が使われている」という論調。

「我々の」という側からの見方は世論をくすぐる。NHKだって「我々の払った金」となるし。

この連載、どういうことが明らかにされてくるのか。
“楽しみ”だ。

田中角栄内閣の「早期退陣」となった原因の一つは、文芸春秋が書いた、「田中金脈」と「悲しき越山会の女王」という二本の記事だ。

政治には常に金がまつわりつく。それがスキャンダルとされた時、それが与える影響は大きい。

再稼働に異論を唱えても、それは進められていく。その論議は安全性が中心。金をからめれば、世論は大きく変わる。

朝日は、大袈裟に言えば「ルビコンを渡った」と言えるかも。訴求力は強いから。

関電だけじゃない。東電だって、その他の電力会社だって、すべからく「カネ」はまいている。その原資は我々の払った電気代。

政治献金。多くの企業が行っている。それはその企業の商品に上乗せされているカネ。
政党助成金。それは全部税金。

「我々のカネ」が政治家に流れる仕組み。

政治とカネと原発と。まさに“三位一体の法則”みたいなものだ。それの再確認ということか。

紙面に東大客員教授の御厨貴氏がコメントを寄せている。
「衝撃の告白だ。これほど痛烈な自己批判は過去にない。歴史をこの国に記録として残そうとする勇気ある行為だ」と。

墓場までは持っていけなかったということなのだろう。元副社長の心境は。

この人は、「原発の裏面史」を“証言”した。91歳。戦争を知る世代だ。
彼と同世代で戦争に行った人はまだ存命している人がいる。士官だった人も、指導者の末端にいた人も。戦地に赴いた人も。

その人たちの多くはあまり戦争を語りたがらない。語れない理由があるからなのだろう。

「歴史をこの国に記録として残す行為」として、記憶を呼び起こして、封印を解いて、「戦争」を語ってくれないものかとも思いが飛躍する。

「原発マネー」の恩恵に浴した政治家は多いはず。その人たちは、今から、もし記事にされたらと、今から「コメント」を考えているかもしれない。

今日、名前が挙がった人たちは、一人を除いて、「死人に口なし」なのだけど。

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