日曜の朝、午前中のテレビ。NHKの国会討論では、各党の幹事長クラスが顔を並べて集団的自衛権の問題で、なにやら語っている。もうどれもが聞き飽きた口説。
片や相変わらずのバラエティー系の民放。
そこに、いまだ、そう、報道番組にだって連日登場しているのが、あの泣き喚いた県議のこと。
それを伝える意図がわからない。馬鹿な県議がいるってことで「政治」をおちょくっているつもりだろうが、こんな恥ずかしい奴がいることを、もう“興味本位”でやる必要はない。
政治の劣化というよりも、国民の劣化なのかもしれない。もし、そのニュースを求めているとしたら。
集団的自衛権の問題。
やがて提出される関連法案。そこで丁寧な説明があると自民・公明が言う。
丁寧な説明って何だ。
わかりにくいと市民は言う。わかりにくくしたのはもちろん当事者の政権だ。
わかりにくくすることに意味があったから。
的外れな論点も持ちだして煙に巻く。常套手段だ。
わかりやすい説明。わかりにくい。
こっち側にも責任がある。説なんていう前に、それを「知ろう」とする努力を、いささかの時間と労力をかければ「わかる」こと。
論調は別だ。どの新聞を見たって、それを読んで考えれば「わかること」なのだ。
丁寧な説明を求める。マスコミも含めて言っているかぎり、どこかで“他人任せ”のこととなるのだ。
与えられるものを待っているだけでいいのか。自分から取りに行かなければ。
その努力を惜しむから為政者に国民は「馬鹿にされる、甘く見られる」。
丁寧な説明。それは「福島」でもさんざん聞いた。為されていないし、為されたとしても、時間切れの一方通行。
もし、国会議員に、矜持というものが、使命感があるのなら、たぶん、その時間とて少なかろうが、論戦の“技術”を磨くことだ。
長々と薀蓄聞いているのが国会論戦ではない。
説明と議論、論戦とは違う。相手の「非」をどうやって追求し、その矛盾点を突き付ける。それが国会という場の「論戦」だ。
お互いの「お題目」のような持論を述べあっていても論戦にも議論にもならない。
国運にかかわること。国会が目覚めてほしいのだが。いかんせん、その能力がある議員はいないな。
下卑な野次を飛ばす奴はいても。
鬱々として晴れない。そんな中で見たNHKの番組。
「明日へ、三十一文字」。被災した、避難した人たちが詠んだ短歌。梅沢富三男がレポーター。
見ながら書き留める。
「我が土地に結界をなす柵ありて、風は静かに行きて来しあり」。
富岡から避難している人の一首。
もう、帰ることは不可能だと思う。ここにはもう住めないよ。富岡の自宅脇でその人はぼそっと言う。
梅沢が言う。「出来るなら風になりたいでしょうね」と。その人はうなずく。
悲しく悔しい短歌に、心が慰められる。救われるような思いがするという皮肉な自分。
三陸の高校生の短歌を聞く。そこに没頭する。涙ぐむ。被災者の句に浄化を求める・・・。助けてもらっているのはこっちだ。
「日々、短歌を詠むことで、短歌に詠むことで、今の自分の気持ちを留めておきたい」。そう言っていた富岡の人。
おもわず思い出す峠三吉の詩。「人間を返せ」。
死者だけを返せと言っているのではないと受け止める。
まともな人間をと、生きている人たちに呼びかけているように感じるから。
ほとんどの人の「仮住まい」は来年が期限だ。その後のことは誰もわからない。
住まいを失った。生活権を奪われた。安心できる生活は無い。そんな国民がいる。それを助けるのが「国」ではないのか。「国家」ではないのか。
国を守るとは何か。今、困っている人、放り出されたままの人。それは国民だ。目先の国民を無視して「安全保障論議」にうつつを抜かす、立派な家を持った人たちよ。
この国はやはり間違っている。あらためてそう思う。
2014年7月6日日曜日
“チェルノブイリ”異聞
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