2012年1月27日金曜日

故郷とは・・・その2

大地震と大津波。逃げろ~と声にせかされた高齢者は、何を持って逃げたか。先祖の位牌を握りしめて逃げた。そんな人が数多くいるという。

原発事故で避難を命じられ、着の身着のまま避難所に行った人達。やがて一時帰宅になった時、仏壇に花と線香を手向け、先祖の位牌を持ってきたという。

仮設には、それこそ仮設の仏壇を置いている人が多い。仏壇に手を合わせる。それは日常の姿なのだと。

阿弥陀寺の住職から宗教界報、中外日報という新聞が送られてきた。そこにあった見出し。「宗教は郷土性に根差すもの」。

震災以前は宗教のあり方も大都市中心に考え過ぎていた。しかし、震災が起こってみると、もっと伝統を引き継ぎ、郷土性に根差した活動が宗教の根っこにあることを認識した・・・今後、前のめりの生き方から、過去から保たれてきたバランスを重んじた生き方へと変わっていくとすれば、伝統的な文化の中の宗教性をどう保存し、新しい時代に適応していくかを考えなければならない。

故郷とは・・・。墳墓の地である。そういう「文化」を持っているのだろう。人間は。

先祖の、いや、親や祖父母の墓があり、毎日手を合わせる仏壇がある。信仰という概念を越えた精神文化が支えている故郷。

墓。それは死者との対話が出来る場所である。故郷とは生者と死者が共存するところである。

死者があって生者が語れる。死があるから生を語り、考える。

やがて自らも身を置くであろう墳墓の地。死して身を置ける場所。震災前、都会では「無縁社会」という言葉が言われ、孤族という言葉さえ生まれた。それの対極としてある墳墓の地を恋う。それも一つの故郷論かと。

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