2015年1月19日月曜日

「消費者」という“お化け”

3・11以降、「生産者」とう言葉、いや、立ち位置か、それと「消費者」という言葉、立場が、ともすれば対極として語られ、反目しあうような世相になった。

誰が生産者で誰が消費者か。

都会と農山漁村か。電気の生産と消費か。生産者だって自分が作るもの以外を買うときは消費者になるのだし・・・。

「消費者は王様だ」。こんなことが言われてきた時代。生産者優先の社会から消費者優先の社会になるという学者さんらの指摘があってからもう何十年。

それは依然続いている・・・。

消費者って誰だ。透明人間のように、その実態はわからないの感。

先週、オーストラリアとの間の関税協定、EPAが発効した。牛肉が安く入ってくることになるという。オーストラリアから輸入する冷蔵牛肉はとりあえず358,5%の関税引き下げ。それがそのままスーパーなどでも価格値下げになるか。
あたかも円安の時、実際に“消費者”が買える値段は、そんなには下がらないはず。

このニュースを伝えていた深夜のTBSのニュース23。女性キャスターは言う。
「我々消費者にとっては価格が安くなることが好ましいんですがね・・・」。

あなた方はたしかに“消費者”だ。しかし、高額の所得がある。我々消費者は・・といわれることにいささか抵抗がある。

なにかあると「我々の税金が・・・」という。たしかにあなた方も納税者だ。しかも多額納税者かもしれない。でも、その負担感は僅少ではないのかと。

安い牛肉が、その価格がどれだけ安くなるかはともかく、スーパーには並ぶ。
「うちは大家族ですから、食費が大変なので安くなるのは大歓迎です」と“街の声”は言う。

知っている限りでは、東北の、福島の畜産農家の経営は苦しい。円安で輸入の飼料の価格が上がる。ようやく持ち直して来たとはいうものの、セリにかけられる牛の価格は安い。

撤退する酪農家も多い。国内の牛肉生産農家は経営に瀕している。生産者としての酪農家の苦労は、この議論の中に入っているのかということ。

米の価格でもそうだ。今年度の買い取り価格。去年よりも大幅にダウンしている。10キロ(一俵)あたり7,200円。農家に儲けはほとんどない。

これが続けば農家はどんどん減る。効率化させた大規模農家以外は。

王様で有り続ける都会の消費者、そこそこの金持ち含め。安心。安全・低価格。三拍子揃ったものを「善政」とする。

物を買うとき、電気を使う時、どれだけの人が、「生産者」を思い浮かべているのだろうか。

先日、福島の石川町の市場で、牛のセリが行われた。そこに連れて来られる牛は、すでにして“商品”。
牛は生き物だ。それは売る方も買う方も十分承知している。牛の目は可愛い。
牛だけでは無い。豚だって鶏だって・・・。

手塩にかけて育てた牛を商品として売る生業。だから彼らには牛への「感謝」がある。それをわかっている消費者だって、売り場に肉として並べられた時、食べる時、売り物に「なる」前の牛の姿を想像するだろうか。

消費者という人達が、好んで廉価な食品を買っているとき、安ければ、そして美味ければ外国産であろうとなかろうと。国内の生産者は、生産者の家計は苦しくなっているという現実。

「食べる」ということは・・・。

消費者団体という大きな圧力団体が存在していた。存在している。

「我々消費者は」となにかと声を大にして言う。その実相が見えない「消費者」と言う名の“お化け”に、世の中が動かされているという世相・・・。

もちろん、ボクも年金生活者という、一人の消費するだけの人間でしかないのだが・・・。

「いただきます」というのは「命を戴く」ということなんだと思うのだけど。

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