ここ数日、頭の中に浮かんだ歌が、浸み込んでしまったように離れない。
時々ある“現象”なのだ。記憶に浮かんだ歌が離れていかないという現象。
高校生の頃か、大学に入ってからか。いや、もうちょっと後か・・・。
「カスバの女」という歌がはやっていた。
ラジオからも流れていた。
その歌詞を記憶しているという不思議さ。こういうことがなぜ起きるのか脳科学の先生に教えてもらいたいくらい。
「涙じゃないのよ、浮気な雨にちょっぴりこの頬濡らしただけよ。
ここは地の果てアルジェリア、どうせカスバの夜に咲く
酒場の女の薄情け」。
「歌ってあげましょ、私でよけりゃ。セーヌの黄昏、まぶたの都。
花はマロニエ、シャンゼリゼ 赤い風車の踊り子の
今更かえらぬ身の上を」。
「あなたも私も買われた命、恋してみたって一夜の火花
明日はチェニスかモロッコか 泣いて手をふる後ろ影
外人部隊の白い影」。
なんでこの歌が浮かんだのか。フランスで起きた”テロ“と言われる殺人行為。
犯人はアルジェ出身者であるとうこと。
欧州各国首脳が先頭に立ち、パリの街中を大行進した群衆がいたということ。
フランスとアルジェリア。植民地、独立戦争・・・。
フランスは「移民」の国であり、自由、平等、博愛を掲げている国であるということ。
その移民の多くがいわゆるマイノリティーとして貧困層の中におおかた区分けされていたこと。
200万人とも300万人余りとも言われる人たちがその大行進に参加し、参加した人達が「私はシャルリ」という襲撃された出版社の社名を掲げていたこと。
この問題、テロという犯罪を内蔵させながら、その恐怖を覚えながらも、どこかに別の怖さも感じるのだ。
歌にありように、外人部隊としてのフランスはアルジェリアもモロッコもチュニジアも、かつてその「支配下」に置いていた。
アルジェリアの都市、カスバ・・・。どこか戦後の新宿を思わせるものがある。踊り子、酌婦、迷路のような路地。
列強と言われる国は、ヨーロッパの国は、世界に植民地を広げていった。
大英帝国はオーストラリアを先住民を追い出して植民地化した。
統治の象徴として提督を置いた。
香港も長らく英国の植民地だった。
日本も満州を植民地化しようとしていた。
あの大行進を、言論の自由を高らかに叫ぶ大統領をはじめとした大群衆。
アルジェリア戦争と同時代を生きたフランスの哲学者であり社会学者のギュスターブ・ル・ボンが喝破した「群衆とは・・・」という論考。
その一行にはこうある。
「群衆は同一化する」と。さらには「群衆は感染する」とも。イスラム排除の動きが高まるのだろうか。
ル・ボンが存命ならばこの様相をどう考察しただろうか。同一化されたとしか見えない群衆・・・。テロに抗議する“正義”の群衆ではあるのだろうが。
英語は海賊の言葉、ドイツ語は馬と喋る言葉、そしてフランス語は愛をささやく言葉。昔、そういっていたフランス人もいた。第二外国語、僕は「馬」を選んだのだけれど。
フランスには二回行っている。ホテルのロビーで「エビアン」を手渡された。
生水は飲んではいけないとして。
加工された水しか飲めない国なんだ・・・。あの「硬水」はどうもいただけなかった。そして僅かの滞在であっても、どこかで日本人を見る眼が“違って”いたように思えた。もうずいぶん前の記憶だが。
フランスの悪口を書いているのではない。
なんか「わだかまり」を覚えるだけだが・・・。
今もきっとあると思うが、東京の代々木上原に、大山町と隣接したところにイルラム教のモスクがあった。中学生の時、その界隈によく出かけていた。夜のランニングコースでもあった。
その寺院を、モスクを、なぜか「フイフイ教」と教わっていた。その界隈で時々出会うイルラム系の人。その来ているものかぶっているものをなんだか「奇妙」な人達として見ていたような覚えがある・・・。
もしかしたら、あのモスクも「警護」の対象にされているのかもしれないなとも。なんたって「排外主義」が支配する空気が強まっているような気がするから・・・。
きのう駐日フランス大使が1Fを視察した。完全にコントロールされていると感想を言っていたという。
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