県は自主避難者への住宅無償提供について、来年度で終了する方針だという。
県外への自主避難者は未だ3万人以上は居ると言う。
その自主避難した人たちの考えかたや生活ぶりはさまざまだ。一括りでは語れない。
しかし何にしても住宅の無償提供が打ち切られるということは「生活基盤」をそうするかということだ。
それぞれが、それぞれの1年10か月後のことを考えねばならない。
県内に避難している人への賠償金もそのころには打ち切りとなる模様だ。東電と国が歩調を合わせるかの如く言い出している。
だから「帰還促進」の動きは急だ。帰還困難区域を除いて、期間を促す。
帰還にあたっての問題点は解決させるということのようだが、とにかく「元には戻らない」。それだけは確かだ。
「戻らないところに戻る」。そこにも大きな選択がある。
自主であろうと強制であろうと、避難者たちは、避難者の問題は「福島の大きな曲がり角」なのだ。
そして、その曲がり角には“道標”が無いということ。
立ち入り禁止という「道標」だけは立てられているが・・・。
仮設の「空き家」は3割に及ぶと言う。仮設はその耐用年数を越えている。
そこに住まざるを得ない人は多くが高齢者だ。
高齢化社会というこの列島を覆う現実。もし高齢者受難という言葉があるとすえれば、その象徴は福島にある。
避難者とその地にいた人たちの間の“軋轢”や“感情のもつれ”も、その“もつれた糸”はよりとけない様相も呈している。
人の心の曲がり角・・・。
きのうからいわき市で「島サミット」という国際会議が開かれている。
福島のでの国際会議。
どう受け止めるべきか。
晩さん会では県産の食材を提供し、「風評被害の除去」に努めているという。
いまだもって「風評被害」という言葉が、存在感を持って語られるということ。
未だ郡山市内でも除染作業が行われている。それに対して住民の多くは「無反応」だ。
中間貯蔵施設への「廃棄物」の搬入も進んでいる。しかし、その“施設”は「未完」なのだ。
その施設の予定地ではいまだ「行方不明」の身内を捜す家族の姿がある。彼らは「その土地は売らない」という。
メディアも福島をどう捉えるかに苦吟しているようだ。
「復興なった」という視点にするか、いまだ「取り残されている人たち」に視点をあてるのか。
福島への見方も曲がり角だ。
数日前、10年間郡山で生活していた人が、10年ぶりに郡山に来た。こっちにいた時の友人だ。
「郡山も変わりましたね、すっかりキレイになりましたね」と彼は言う。そうなのだ。あの震災の影響は見た目からは取り払われているから。
「車で10分も行けばまだ仮設で暮らしている人がいるんだよ」と言う。彼は驚いた表情をする。「え、もう無くなっているんではないんですか」と。
彼を責めるわけにはいかない。東京で普通に暮らしている人にとっては、積極的に福島を知ろうとしない限り、知ることは無いのだから。
未だ仮設の「延長」を求める人も多い。仮設を出て自力で住宅を確保出来た人もかなり居る。「延長」を求める人は自力では住宅を入手できない人たちなのだ。
だから、避難者も二分されていく。“路上生活”という言葉が頭をよぎるという人もいる。
「福島」は日々歩いている。目的が何であっても。その道の先に曲がり角が来ていることを知ってか知らずか。その道中は「不安」との道連れ。
「この先、1年後曲がり角あり。注意」。そんな看板を道路標識を立てなければと。
2015年5月23日土曜日
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