2015年5月5日火曜日

減り続ける子どもの数

きょうは子どもの日、昔風に言えば端午の節句。子どもの成長を祝う日なのだが。

15歳以下の子どもの数が34年間連続して減っている。まだまだ減り続けるだろう。
子どもの数は1617万人だという。
全人口に占める子どもの数は12,7%。65歳以上の人口は26,4%。

単純に数字だけで見る「少子高齢化社会」の現実だ。

各地で「こども祭り」が行われている。大勢の人が参加している。
その光景からは「子どもが減っている」という数字は感じられないのだが。

詳細に付き合わせたわけではないが、子どもの数の減少率は、いわゆる増田レポートにあった「地方消滅」の都道府県別の傾向となんとなく適合しているようだ。

子どもが減って行くにも関わらず、今の世の中は人口構成が今のままであるかのような考えで事が為されているようにも思える。

高齢者人口の半分にも満たない子ども人口。

それを“覚悟”した上での社会システムが構成されているのだろうか。
子どもの数の減少が、社会にどんな影響を与えるのか。

柱の傷は一昨年の五月五日の背くらべ
ちまき食べ食べ兄さんが計ってくれた背のたけ
昨日比べりゃなんのこと
やっと羽織の紐の丈

戦後、まだ人口は増え続けるであろうと思われていた時代。古い初台の家にも柱に傷が何本もあった。4人の子どもの背比べ。

大人になってからも残っていたその傷は、そこに子どもたちの“日常”があったという記録のようなものだった。

今、柱での背比べなんていうのどかな光景は無い。計測されデータとして保管されているだけ。

「3・11」、原発事故。福島県からは多くの子供がいなくなったと言われてきた。子どもを産まない母親が増えたとも言われてきた。
それは、どこかで、だれかにとっては「定説」のようにすらなったいた。

現在の福島県の子どもの人数は23万9128人だと県は発表している。
前年同期より4575人減少したが、前年同期比の減少率は1・9%だった。過去8年間で最少の減少率。
ゼロ歳児は1万4184人で微減。3・11前の水準に戻っている。

福島県も総人口は減っている。原発事故後は、それが拍車をかけていた傾向がある。
が、だんだん、あの当時に戻りつつある。

それは、いわゆる復興とか、事態収束とは全く無関係なのであり。

県の総人口は192万6961人だ。それに占める子どもの割合は12・5%。前年同期より0・2ポイントの減。

他県と同じような傾向をたどっているのだ。

ただ、この数字をどう見るか。どう読み解くかは、それぞれの親や地域の人の考え方一つだ。

事故後の親が持つ「不安」、こどもの環境の「不便」さ。それは他県とは比較できない。

子どもたちが遊び集うところには必ず設置されているモニタリングポスト。
そこに表示されている、無感情な数値。

チェルノブイリ事故では、被ばく線量は福島の10倍だったと言われる。
そして、避難したとはいえ、移住したとはいえ、その地に住む人は、事故後に生まれた子供たちは、なにかしらの「健康不安」を持っているともいう。

福島の子どもたちは・・・。将来、健康に影響を及ぼすのかどうか。
結論は「わからない」ということだ。あるかもしれない、ないかもしれない。

そして原発の収束は、フレコンバックの行方は・・・。それとても結論は「わからない」ということ。

ただ、なんとなく思う。
「福島の子どもたちは強くなっている」と。精神的に強いと。そして、将来のこの国のことについて、いろいろ考えているはずだと。

子どもの日に大人たちが考えなくてはいけないこと。それは「子どもの貧困」ということだ。
16,3%という子どもの貧困率。

それは今が貧困だと言うことだけではない。将来の人材育成にも関わることなのだ。大人が子どもとどう関わっていけるか、いくのか。漠然とした提起だけど、難しく、しかし、考え方を変えねばならない問題なのだとも。

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