2011年7月18日月曜日

兵を用いるということ

兵を用いる。古くから言われる指導者の条件。用兵の術。

サッカーなでしこジャパンの劇的勝利。テレビの前で歓声をあげた人も多かったでしょう。感涙を流した人も多かったでしょう。

この嫌な世の中の憂さをひと時でも忘れさせてくれた快挙。酔いしれていいのではないですか。

勝利だけじゃない。被災地支援への感謝のメッセージを持ってピッチの中を歩く彼女たち。その姿にまた涙腺が緩みます。

日の丸を身にまとうように走り回る彼女たち。美しい。世界で一番日の丸が似合う女達。

日の丸に書かれた岩清水選手の言葉。その日の丸を皆がかわるがわる持つ。岩清水梓、岩手県滝沢村出身。
「東北の皆さんへ 忘れたことはありません。いつも自分に出来ることを考えています。今回、良い結果を届ける、その一心でした。メダルを持って皆さんのところへ会いにいきます。待っていてください」。

なでしこジャパンの優勝。それは佐々木則夫監督の力によるところ大と思います。その力とは。用兵の妙です。いわば「人事」。かれの采配はことごとく適中した。選手の起用のみならず、ポジションまで。
そして選手の気力を高めるための意の用い方。絶やさぬ笑顔。PK戦に入る前、円陣の中にいた彼の笑顔を見て「勝てる」と確信した。

一人のリーダー。指導者。そのあるべき姿と能力。選手の使い方。人心収攬術、チームを一つにまとめる力。それらを、そのあるべき姿を彼はことごとく示した。

菅直人は、きのうサッカーの事を記者団から聞かれ「勝つといいですね」みたいな事を言ったという。彼が試合を見たかどうかは知らない。
もし、仮に見ていたら、「リーダー」として「指導者・監督」として何を思ったか。多分何も思わなかっただろう。いや思ったことは「俺のチームにはあんな優秀な選手はいない」ってことかも。

チームをひっぱりMVPを獲得した澤 穂希。名前の由来は、彼女が生まれた時、食料難の時期だったとか。コメが実りますように。稲穂の穂と、希望の希の字をとって親が名付けたという。

コメが採れない、野菜もだめ、牛肉も。打ちのめされた東北。穂希という字は奇しくも被災地を励ます名前だった。この日のために生まれて来た子かもしれない。やがて、彼女達が「誉」となって名が残ることを希む。

“チェルノブイリ”異聞

  ロシアがウクライナに侵攻し、またも多くの市民、日常が奪われて行く。 ウクライナという言葉、キエフという言葉、チェルノブイリ・・・。 そう、あの最大の原発事故を起こした地名の幾つか。 「チェルノブイリ原発事故」。1986年4月26日。 ウクライナの北部にあるその...