朝日新聞の続きもの、「プロメテウスの罠」。読ませる企画だとおおむね思っている。そう、おおむね。
目下は「病院、奮戦す」。広野町の高野病院を舞台にした、震災、原発事故後の検証報道。
きょうはその25回目。去年の3月19日、ある行政関係者から電話。患者を早く避難させるように言われた。病院の事務長が。院長の娘が。
「いま、無理に動かしたら、高齢の患者は10分で死んでしまいます」。その事務長の訴えに行政関係者が答えて言葉、メモにも残してある。
「それは仕方ないですね」。
他の病院ではバスなどで搬送中に患者が死亡することが起きていた。そんな時。言われた言葉だ。怒りで頭が真っ白になった。そう記事は記している。
記事を読んだこっちの頭は真っ白どころか怒りで震える・・。
3月19日。混乱の最中だったことは誰しも承知。そんな中で冷静を保ち、職務を果たすことが公の職にあるものの使命。
人が死ぬ、死ぬ恐れがある。そういう病院関係者の話に「仕方がない」と言い切った奴。
その行政関係者とやらの官職、姓名を知りたい。もちろんその事務長は知っている。取材した記者も聞いている。しかし、記事になると「ある行政関係者」。
名前を伏せる事の意味は何か。その「行政関係者」にも事の次第を取材したと思うけれど。
これおて、今はやりの、隠れ蓑権利。プライバシーってことなのか。
昨日の東電幹部と浪江町長との会談。怒りに震える馬場町長に再度の回答。
「東電社員二人が、町長と副町長に伝えた」。東電の調査結果。町長は聞いてないという。東電の社員の何と何が、誰それが伝えたのか。東電は口を割らない。
まさか水かけ論に持ち込むつもりではないと思うが。
その東電の社員の職階、姓名を知りたい。まさか新社長までもが、「そこまで報告があがって無い」と逃げるつもりなのか。
ある行政関係者も、ある東電社員も、個人の判断だったのか。上司の指示に基づいた発言だったのか。
3月19日。まだ、死者を出来るだけなくす努力が、例えば警察、消防、自衛隊、そして民間・・・。人を救う行為が必死に続けられていた頃・・・。
いわれなき犯罪に巻き込まれた被害者。悪意が無くともメディアは被害者の姓名を報道する。報道されたことによって、その犯罪被害者は、それこそ「世間」の好奇の目にさらされ、人生さえも狂わせていく・・。
そこにはプライバシー保護という概念が無くなっている。いつどこでだれが・・・。それが事実を伝えているというある意味での錯覚。軽薄な考えのみに支配された“権利”と言わざるを得ないプライバシー・・・・。
東電内のテレビ会議のVTR問題も然り。あの場にいた人たちにプライバシーなる、保護されるべき“権利”は存在しない。
その言葉を持ち出せば、すべて“免責”されるというような、おかしな人権。
冗談めかして歴史本を言うのではない。昔の武士は、合戦場で、大音声で、自らの官姓名を名乗り、「われの首級を上げよ」と敵陣に呼ばわった。正々堂々と。
みんな「権利」を笠に「隠れん坊」をしている。誰かが鬼になって、隠れん坊を見つけなければ、終わらない。子供の遊びだってそうだった。
誰が鬼に成りうるのや。
2012年7月4日水曜日
“チェルノブイリ”異聞
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