2012年7月11日水曜日

テレビドラマと現実との乖離

きょうは7月11日。祥月11日。午後2時46分。あの日の光景が蘇る・・・。その時から始まった“悪夢”の日々が・・・。

テレビのドラマも、映画にしても、すぐれて社会性を持っているものだと思っています。しばしばそう言ってきました。そこにある種のジャーナリズムがあるものと思っている。思ってきた。全部が全部そうでないにしても。

数日前、日曜の夜9時。TBSのドラマに「サマーレスキュー~天空の診療所」というのがあった。夏場だけ開所される標高2、500メートルにある診療所をめぐるドラマ。夏山登山者のための診療所。それが実在するという話もあるが。

そのドラマのキャッチコピー。「標高2,500メートル。この診療所には医療の原点がある。」
視聴率は14,7%。まあまあの“成績”ってことだろうが。

登山者のための診療所である。山には事故はつきもの。人の生命の大切さは誰であろうとかわりは無いのだが・・・。

東北3県。ものすごい医者不足である。看護師不足である。医療従事者不足である。
病院が無い。医院がない。医者がいない。看護師がいない、足りない。これで何人の命が奪われた事か。奪われたというのが言い過ぎならば、命を落としたと言おう。

きょうの新聞にもあった。震災関連死1632人。多くが高齢者。慣れない避難生活とか、精神的問題もあるだろうが。

先日も知人の医師と話をした。医療従事者が激減している問題について。被災地の医師不足。日本医師会の問題もあると彼は指摘する。医師会の被災地医療に対する考え方と現地との乖離を指摘する。

彼の父親は日本医師会の会長もやっていた。そして、彼の病院も人手不足だという。郡山でさえ。郡山から医師らを派遣したいが、物理的にも難しいという。

ある病院が一人だけ浜通りに派遣しているというが。
放射線被曝の捉え方も医師によって、看護師によって様々である。

被災3県の医師不足。これとて焦眉の急なのだが。

山の上の診療所。天空の診療所。そこが医療の原点なのか。テレビの側の問いかけに疑問が生じる。ドラマに目くじら立てることもないが、時宜にかなう企画とは思えない。

このドラマの脚本がいつ書かれたのかはわからない。この脚本家は、たしか、以前、阪神大震災と思われる惨事を舞台に、救命救急の医師を主人公に、トリアージ含め、問題提起した人だと記憶しているが。

夏山登山者のための三か月の診療所。暑さの中で“闘病”している寒さの中で“闘病”している被災地の病人、高齢者。

その乖離。

こじつけと言われるかもしれないが、被災地は日常のテレビの中からは、忘れられかかっているような・・・。

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